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拠点・奈良県大和郡山市 運営者・浅野善一

県に請願書提出、賛同署名添え

大屋根建設費を被災地復興に

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2011年8月11日
県道路・交通環境課に請願書と署名簿を提出する「被災地を支援する奈良の会」の松永代表ら(中央)=2011年8月11日、県庁
 県が奈良市の近鉄奈良駅前行基広場に計画している大屋根は古都の玄関口の景観を損なうとして、建設に反対している市民らが11日、大屋根などの建設費を東日本大震災の被災地支援に回すよう求める請願書を賛同の署名簿を添えて、県に提出した。
 請願書を提出したのは、市内の作家や主婦、画家らでつくる「被災地を支援する奈良の会」(松永洋介代表)。請願書は、大屋根のほか、県が奈良公園の県新公会堂とシルクロード交流館の間に計画している渡り廊下は不要不急として、大屋根の建設費1億7000万円と渡り廊下の建設費1億6000万円を合わせた3億3000万円を、東日本大震災の被災地支援に回すよう求めている。復興のための工事を県内の建設業者に発注して被災地に派遣すれば、税金も県民に還元されるとしている。
 また、署名は県内を中心に715人分。ことし3月末から、行基広場での街頭活動とインターネット上での呼び掛けを軸にして募り、全国の奈良ファンからも寄せられた。 この日は、松永代表と市在住の作家寮美千子さんが県道路・交通環境課を訪れ、東智徳課長に請願書と署名簿を手渡した。東課長は大屋根について、パブリックコメントやアンケート調査で県民の理解は得られたと説明したが、寮さんは「一般県民の声は届いていない。震災の前と後とではお金の使い方も変わった」と計画の再考を求めた。
県議会にも反対や疑問の声
 県議会にも反対の声はある。共産党県議団(5人)はことし5月11日、荒井正吾知事に対し、東日本大震災の復興財源のため、県内で進められている国事業の見直しを政府に求めるよう申し入れを行ったが、この中で県事業の大屋根建設も全国的視点に立って当面見合わせるよう求めた。同県議団の山村さちほ議員は11日、取材に対し、「大屋根は今すぐ必要なものではない。景観上の問題もある」とし、「反対の世論、運動があれば支援したい」とした。
 無所属の阪口保議員(生駒市選挙区)は同日までの取材に対し、「自然な空がある所に屋根をつくったら、観光上の景観は悪くなる。財政は厳しく、もっと他に金を使うところがあるはず」と反対の立場を明確にした。
 また、社民党の梶川虔二議員は「通勤客がとっさの雨に遭ったときなど、利便性を考えたらそれなりの意義がないことはない」と理解を示す一方で、「財政的に厳しい中では、そんなことに力を入れるべきではない」と疑問も呈した。(浅野善一)
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