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拠点・奈良県大和郡山市 運営者・浅野善一

質疑ゼロ 仕組債の元本割れ触れず

奈良県市町村総合事務組合 決算認定の定例議会

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2012年7月12日 浅野善一

 奈良県内市町村職員などの退職手当支給事務を行っている県市町村総合事務組合の2012年度第1回定例議会が10日開かれた。退職手当基金の仕組債が売却され、多額の元本割れが発生した11年度歳入歳出決算が認定されたが、質疑や討論はゼロだった。同様の元本割れが発生した10年度決算が認定された昨年度の定例議会も同じだった。元本割れは両年度で合わせて20億円を超えるが、問題が公開の議会で論議されることはなかった。

 同組合は、執行機関の管理者、議会(定数12人)の議員ともに県内の市町村長や町村議会議長が就任している。定例議会は年2回、開かれている。10日の定例議会は組合事務局がある橿原市大久保町の県市町村会館で午後2時から開かれ、管理者の職にある小城利重・斑鳩町長や議員の職にある太田好紀・五條市長ら8人が出席した。

 決算認定の審議では、小城町長が決算内容を説明、続いて監査委員が監査結果について「適正に処理されていた」と報告したあと、質疑、討論に移った。議員からの発言はなく、すぐに採決が行われた。議事は正副議長選挙と議案3件だったが、議員が質問し、管理者が答弁するといった場面はなかった。定例議会は20分で終了した。

 一方、傍聴は「奈良の声」の記者一人だった。組合事務局によると「傍聴は組合始まって以来、初めて」とのことだった

 昨年度の定例議会も20分で終了している。

運用方法の検討は担当課長ら組合事務局の3者

 県市町村総合事務組合で、退職手当基金など基金の運用方法の検討は、組合事務局長、会計管理者(事務局次長が兼務)、運用担当の総務課長の3者に任されていた。専門の部門はなかった。

 組合事務局は「運用について安全性を点検する専門家はいない。一部事務組合でそうした部門は置くのは難しい」とする。ただ今後は、2009年度に設けた退職手当支給事務運営検討委員会で、リスクの程度などが検討される可能性もあるとする。同委員会は、市町村の退職手当負担金率などを検討するのが目的で、各市町村の財政課長が委員になっている。

 基金の運用状況に対する審査は年1回で、運用状況を示す書類を作り監査委員の意見を付けて、組合の歳入歳出決算と併せて議会に提出している。外部の監査はない。

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