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拠点・奈良県奈良市 運営者・浅野善一

ならまち塩漬け土地、12億円で買い戻しへ

公社取得時より4億円も高値に

旧国際交流センター建設用地、用途は未定

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2010年8月28日
多額の損失が出ている旧国際交流センター用地。左の建物は「ならまち振興館」=奈良市井上町
 奈良市の「ならまち賑(にぎ)わい構想」の一環として、市土地開発公社が買収し、活用が宙に浮いている同市井上町の旧国際交流センター建設用地のうち約1500平方メートルを、市が約12億3000万円で買い戻すことが分かった。公社が取得してから20年近くが経過し、金利などの経費がかさんで、4億円近くの無駄が発生する見通しだ。公有地の空き地は、景観形成に有効な一面はあるが、同公社が長期に保有すればするほど市の損失は大きくなり、結果として他の地域のまちづくり予算まで侵食することになる。
 問題の土地は1991年、西田栄三(故人)市政が公有地拡大推進法などに基づき、市の特別法人・土地開発公社に7億7800万円で買収を命じた。その後、地価の下落が著しくなって公有地を先行取得する意義が次第に薄れていき、国は取得後5年以内に買い戻しをするよう知事らに通知していた。しかし奈良市では、4代の市長の時代にわたって課題を先送りしたため金利が累増し、財政損失を招いた。
 仮に市が買い戻しをしない場合は、さらに損失が増え、何も対策を講じないことと比較すると、今回の措置は財政上のわずかな利点はある。一方、買い戻しが著しく遅れたことによる財政の実害は大きく、住民に対し詳しい説明が求められそうだ。地方自治法上の議決は不要な範囲。
 同所周辺の奈良町の景観保全運動は、30年ほど前に民間の若者たちが取り組んだのが始まり。その後、市は景観形成条例を施行し、10億円の町家再生基金を講じるなどし、市中の代表的な観光地に発展した。しかし、公有地を拡大する土地開発公社の制度とはなじまず、2009年度末の時点で同公社が「ならまち賑わい構想」と連動して長期保有する「塩漬け土地」の簿価は27億円にも達していた。このうち同市高畑町の駐車場用地は先月約8億円で買い戻した。残る「塩漬け土地」には、同市南袋町に土地開発公社が駐車場用地として4億8000万円で取得した土地があるが、大型観光バスの進入路を確保できないなどの理由で活用されず、大きな無駄が生じている。
 旧国際交流センター用地の全体面積は、すでに公社から買い戻している700平方メートルを合わせ計2200平方メートル。市内循環道路に面した箱モノ建設が構想されたが、大川靖則元市長が01年、市議会で見直しを発言。以後、具体的な活用が定まっていない。今回買い戻す1500平方メートルの土地には、大正時代の民家を生かした市の「ならまち振興館」と同館関係者の駐車場がある。担当の文化・スポーツ振興課の喜多義嗣課長は「観光部局と連携しながら具体的な活用方法を検討している」と話している。
(浅野詠子)
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