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拠点・奈良県奈良市 運営者・浅野善一

地元優先発注が不良不適格業者を温存か

奈良市職員アンケートで浮かび上がる

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2011年1月1日 浅野詠子
 国が長年にわたり奨励している公共工事の地元優先発注をめぐり、そのマイナス面を放置し続けると、不良不適格業者の温存につながる恐れが強いことが奈良市の職員アンケートで浮かび上がった。設計書を見ることなく応札したり、現場代理人を置かないなどは珍しくなく、丸投げ(一括下請け・上請け)も常態化するなど、地元業者の育成とは無関係な不正入札や工事の安全を妨げる慣行が、過去の市政の下で横行してきたようだ。
 アンケートは奈良市入札制度等改革検討委員会が昨年11月、インターネットで公表。1655人を対象にし、340人が回答、59人の職員が具体的な意見を述べた。地元優先発注は、国の会計法令などに根拠を置き、前の自民党政権が閣議決定し、工事の発注原則の一つとして確立。長年にわたり、自治体の発注に影響を及ぼしている。
 奈良市の大半の工事も、市内に本店を置く業者が主に受注。同じ市内でも工事現場に近い業者が受注できるよう、市は過度な地域要件を設定してきた。職員が寄せた回答によると、暴力まがいの公務執行妨害の実態が浮き彫りになり、「工事の検査を職員が行うと、業者からのどう喝や議員の介入などで実施できない」という場面があったという。
 また、「図面や設計書などを把握せずに入札に参加する業者がいる」など、施工能力に乏しい業者が応札できる仕組みがあるようだ。落札後に「金額が合わない」などと申し出る業者が後を絶たないらしい。
 さらに、「現場代理人が常駐していない」「専任の技術者いない」など法令を順守しない施工が横行。建設業法に抵触する丸投げは常態化しており、入札に参加して札を入れるだけで、工事を受注した後はピンはねをして一括下請け・上請けに回す「ネクタイ業者」という呼称が、アンケートには何度か出てくる。
 警察との連携を望む深刻な声、自由競争以外に解決はないとする切実な意見もある。国が進めてきた地元優先発注は、入札制度と工事の検査方法を改革しない限り、地元業者の育成はおろか、不正のるつぼと化す恐れがある。過去の市政においては、市道工事などの工区をいたずらに細分化し、多くの地元業者に満遍なく発注することが頻繁に行われ、工事の品質向上やコストの削減は二の次だったとみられる。
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