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拠点・奈良県奈良市 運営者・浅野善一

取り壊しから守れ、奈良町に町家バンク

空き家所有者と入居希望者を引き合わせ

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2011年5月14日
不動産業者の売り家の表示が掲げられた町家=2011年5月14日、奈良市の市街地(写真の一部を加工しています。写真は「ならまち町家バンク」とは関係ありません)
 伝統的な町並みが残る奈良町で空き家となった町家を取り壊しから守ろうと、奈良市は空き家所有者と入居希望者を引き合わせる「ならまち町家バンク」を4月1日付で設立した。奈良町では高齢化などで町家が継承されず取り壊される例が後を絶たず、町並みが損なわれつつある。一方で町家に住みたい、町家で店を開きたいという需要もある。町家の維持につなげられるか。
 町家バンクの設立は仲川元庸市長がマニフェストに掲げていた。運営するのは、市の外郭団体「ならまち振興財団」を中心に市のほか、奈良町のまちづくりに取り組むNPOなど6機関でつくる委員会。対象となるのは、市が町並み保全のため奈良町都市景観形成地区に指定している地域や、県庁北側の奈良北町と呼ばれる地域にある1945(昭和20)年以前の木造建物。これらの地域は江戸時代末期から明治時代にかけての町家が多く残っている。奈良市の古くからある市街地の風景の特徴になっていて、近年、観光客に人気がある。
 運営では、町家の賃貸や売却を希望する人にバンクに登録してもらい物件情報をホームページなどで公開。一方、賃借や購入を希望する人にもバンクに登録してもらい、より詳しい情報を提供、両者を引き合わせる。価格など具体的条件は当事者間で決めてもらう。昨年行った事前の調査で、外見上空き家とみられる町家は21軒あった。近く所有者に対し登録の呼びかけを始める。また、市広報紙「ならしみんだより」でバンクへの登録を案内する予定。

入居希望者には地域行事参加、自治会加入への同意も

 入居希望者には地域との関わりを持つ努力も求める。登録の際の申請書で地域の行事への参加や自治会への加入に同意してもらう。奈良町では、町家の跡に建てられた共同住宅の入居者が自治会に入らなかったり、町家を利用して店を開いている人が夜は不在で自治会に入らなかったりする例があり、住民から不満の声も出ている。
 奈良町都市景観形成地区で1994年6月から昨年8月までの16年間に取り壊された町家は、市に届け出があったものだけで17棟。ならまち振興財団によると、現代風の住宅や共同住宅、コインパーキングが増えているという。
 昨年夏、奈良市西新屋町で町家が取り壊され共同住宅が建設された際、反対運動に参加した地元の南哲朗さん(48)は、近くで新たに発生した空き家の保全に向け、自治会として取り組んでいる最中。「町家バンクに期待したい」と話している。
 橿原市今井町伝統的建造物群保存地区で5年前に町家バンクを始めたNPO法人今井まちなみ再生ネットワークの理事・上田加奈さんは、取り組みを進める上での課題として「運営資金を継続的に確保できるかどうかにかかっている」と話す。同ネットワークは貸し主、借り主の双方に会員になってもらい会費を集めている。
 問い合わせは、ならまち町屋バンク運営委員会事務局、電話0742(27)1820、ホームページhttp://nara-machiyabank.com/ (浅野善一)
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