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拠点・奈良県奈良市 運営者・浅野善一

信貴山縁起絵巻が絵本に

「空とぶ鉢」、奈良の作家・寮美千子さんが企画

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2012年5月5日
↑「空とぶ鉢」を手にする寮美千子さん=2012年5月4日
↑「空とぶ鉢」の一場面
 平群町信貴山の朝護孫子寺(鈴木貴晶法主)に伝わる国宝、信貴山縁起絵巻(平安時代末期)の物語の一つが絵本「空とぶ鉢」(長崎出版)になった。奈良市在住の作家寮美千子さん(56)が企画し、文を付けた。絵巻の原画をそのまま生かしていて、日本の伝統的な美術に触れながら物語を楽しめる。
 きっかけは寮さんのアイデア。県内に伝わる絵巻を中心に、日本の伝統文化を子供から大人まで楽しめる絵本という形にして発信しようと、「やまと絵本」のシリーズ化を考えた。その第1弾として信貴山縁起絵巻を選び、寺と出版社に絵本化を提案した。
 信貴山縁起絵巻は幅31.5センチで、長さが約36メートルあり、日本の絵巻物の最高傑作の一つとされる。3巻から成り、朝護孫子寺の中興の祖とされる平安時代の僧、命蓮の霊験を劇画的な躍動感あふれる筆致で描いている。
 絵本にしたのは、このうちの「飛倉(とびくら)の巻」(長さ約8.8メートル)で、鉢や倉、米俵が空を飛ぶ奇想天外な場面が登場する。絵本では、自ら空を飛んで布施を集めて回る「命蓮さんの鉢」をうっとうしく思った長者が、鉢を倉に片付けたところ、倉ごと飛んでいってしまう事態に、という物語が展開する。絵が持つ躍動感が伝わる文を付けた。「飛倉の巻」には絵の説明文である詞書(ことばが)きがないため、寺に伝わる話や同絵巻の解説書を参考にしたり、絵の描写を注意深く見たりしたという。
 寮さんは「空を飛ぶ鉢はUFOを思わせ、SF的な想像力をかき立てられる。信貴山縁起絵巻はアニメの原点ともいわれ、人物の表情などが生き生きと描かれている。850年前の人が楽しんだように楽しんでもらえれば」と話している。
 「空とぶ鉢」はA4変形版、32ページ、1575円。

5月13日に完成記念朗読会

 絵本の完成記念朗読会が5月13日午後2時から、同寺「飛倉」で開かれる。寮さんによる絵本の朗読や鈴木法主の「お話」がある。入場無料、先着70人。問い合わせは、ならまち通信社、電話070-5024-9428。
(浅野善一)
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