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拠点・奈良県奈良市 運営者・浅野善一

奈良県市町村総合事務組合監査委員 仕組債による基金損失、違法と認めず 住民監査請求を棄却

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2013年2月16日 浅野善一

 奈良県市町村総合事務組合(管理者、小城利重・斑鳩町長)が投機性のある仕組債を買い、売却による元本割れで20億円の損失を出したのは、地方自治法などに違反するとして、仕組債取得時と売却時の管理者らへの損害賠償請求を組合に勧告するよう求めた記者の住民監査請求に対し、同組合監査委員(松川博文・高取町議会議長、窪田政倫・山添村副村長)は14日、請求を棄却する監査結果を公表した。

 同組合は県内の市町村職員などの退職手当支給事務を行っている一部事務組合。2002〜08年、組合(当時は県市町村職員退職手当組合)の管理者(当時は組合長)や退職手当基金運用担当職員らは同基金の運用目的で、証券会社3社から仕組債計13銘柄を55億100万円で取得し、これを11年3〜12月、34億3510万円で売却。20億6590万の差損が生じた。売却は退職手当資金の不足から仕組債の換金が必要になったためで、いずれも満期前だった。

 記者は請求で次のように主張した。

  仕組債は投機性が指摘されており、加えて満期前に売却すると大きく元本割れする恐れがある。元本保証は満期保有が前提となっている。地方自治法や地方財政法は、地方公共団体の現金や基金の保管、運用について、確実な方法で行わなければならないとしており、これは、元本が保証されている▽支払いに支障が生じない▽換金容易な方法である―ことと解釈されている。組合も基金条例で同様の規定をしている。それにもかかわらず仕組債を取得・売却し、損失を生じたさせたことは違法である。

 これに対し監査結果は、損失は基金のこれまでの運用収益の範囲に収まっており、基金全体では損害の発生は認められないとした。

 記者は意見陳述で、地方公共団体が仕組債を保有するのは問題がある▽仕組債取得の際の満期保有は建前であって、実際は早期償還を当て込んだ投機的なものだった▽基金条例の中に「運用収益」という色分けはなく、「運用収益」の範囲内なら条例の「確実な方法により保管」の原則から逸脱しても構わないなどという規定はどこにもない――ことも主張したが、これらの点に対する検証や言及はなかった。

 ただ、監査委員の意見として、@組合に対し、基金運用は退職手当支給事務に支障がないよう、条例や関係法令に基づき、慎重に行うよう指導する所存A組合に対し、監査委員制度を見直し、専門的な知識を有する者を加え、監査機能の専門性・独立性を強化するよう求めるB組合構成市町村への情報提供の場として、組合はホームページなどを開設し、住民への十分な説明責任を果し、透明性の確保に努めるべき―の3点も付記された。

 監査結果は、組合が従来、主張してきた「損失は運用収益の範囲内」という理屈に沿ったものだった。監査委員の独立性に疑問を感じた。

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