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拠点・奈良県奈良市 運営者・浅野善一

福岡県東峰村、本人確認書類の提出応じない記者の請求にいったん非開示 不服申し立てで撤回

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2013年5月14日 浅野善一

 福岡県東峰村に記者が村議会全員協議会の議事録を開示請求したところ、本人確認のためとして、運転免許証の写しの提出を求められた。村情報公開条例に根拠となる規定がないことから、開示請求書のみを提出した。村はいったん非開示としたものの、記者が不服申し立てをすると、一転、非開示決定を撤回した。今後、情報公開条例に基づく開示請求では本人確認は実施しないとしている。

 奈良県市町村総合事務組合の仕組債損失問題の関連取材で開示請求した。同村では、2007年に村の基金運用を目的に購入した8億円分の仕組債の評価損が問題になっており、議会でも論議になっている。

 請求は先月11日付。村の情報公開担当者に請求方法を電話で確認した際、運転免許証の写しの提出と開示請求書への押印を求められた。根拠として、村情報公開条例施行規則が示している開示請求書の様式の中に職員記載用の「本人確認」の欄があり、方法として運転免許証や健康保険証、職員による確認などが示されていることを挙げた。

 しかし、条例、施行規則のいずれにも本人確認ができる書類の提出や押印を義務付けた規定はない。記者はこれに応じず、開示請求書のみを郵送した。押印もしなかった。

 村の同月18日付の非開示決定通知書の非開示理由は「請求者の本人確認ができる書類の提出がないため」だった。村の情報公開担当者は本人確認が必要な理由として「成り済まし請求に対応するため」と説明した。

 記者は、条例で認められた不服申し立てをした。申し立て書では、非開示理由が条例、施行規則のいずれの規定によるものなのか説明がない▽請求者の本人確認ができる書類の提出を義務付けた規定は条例、施行規則のいずれにもない▽村が保有する個人情報を本人が開示請求する場合、村個人情報保護条例や同条例施行規則は、本人確認のための書類提出や提出する書類の種類について定め、義務であることを明確にしている―などとして非開示は違法、無効と主張した。

 村の情報公開担当者は非開示決定を撤回するに至った経緯について、総務省ホームページの個人情報保護法と情報公開法の違いについて説明した個所に、「情報公開法では、何人も行政文書の開示を請求することができる。開示請求者が誰であるかを問わないため、開示請求者が本人であることの確認を要しない」とあったためとした。村の条例は何人にも開示請求権を認めている。本人確認のための書類提出が条例、施行規則に明文化されていないことも撤回の理由とした。

 村は今月2日付で非開示取り消し通知書を記者あてに発行した。不服申し立てに対しては村情報公開審査会に諮問しなければならないが、今回は「審査会を開くまでもない」として非開示決定の撤回を決めた。

 村の情報公開担当者によると、郵送での開示請求はほとんどなく、窓口を訪れた請求者に対しては、運転免許証や名刺を提示してもらっていたという。「小さな村なので、村民であれば職員が顔で確認することもあった」ともいう。

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