奈良県:平城宮跡朝堂院広場の舗装計画、国交省が工事の入札を公告 反対住民ら、透水性試験が先と反発
奈良市の平城宮跡(特別史跡)の緑地の中心部を、建物復元整備の一環として舗装する、国土交通省の計画で、同省近畿地方整備局は11日までに、舗装工事の一般競争入札を公告した。開札は11月13日の予定。
同局国営飛鳥歴史公園事務所平城分室は住民らに対し、舗装の影響を見る透水性試験の実施を約束しており、落札した業者に実施させるとしているが、「平城宮跡を守る会」(寮美千子代表)は工事業者の決定より、透水性試験の実施が先だと反発している。
舗装が計画されているのは、復元された大極殿と朱雀門の間にある朝堂院広場約4万5000平方メートル。従来は草地だった。平城分室によると、土を盛って造成した上に、路盤となる砕石を敷き、表面を土系の素材で舗装する。盛り土は地下の遺構を保護するためとしている。舗装はセメントを重量比で4%混ぜた真砂土をつき固めるもので、透水性があるとしている。
造成工事は昨年秋に完了している。舗装工事も当初の計画では昨年度中に完了する予定だったが、入札に不備があったとして、今年度以降に持ち越されていた。透水性試験の実施は、同省が昨年11月10日に住民らを対象に開いた説明会で約束した。
これに対し「守る会」などの住民らは、舗装により、宮跡全体の生態系への影響や地下水によって守られてきた木簡などの埋蔵文化財への影響が危惧されるとして、中止を求めている。
「守る会」は透水性試験の結果が発表されないことから、10月10日、平城分室を訪れ、理由を明らかにするよう申し入れた。これに対し、同事務所の鳥奥博良副所長は「舗装工事の受注業者が決まってから、業者にさせる。実際に舗装に使う土を使って試験をしないと意味がない」」と説明した。
「守る会」は「約束を履行してほしい。それまでは着工しないでほしい」などと求め、あらためて住民に対する説明会を開くよう申し入れた。鳥奥副所長は「上司と相談し検討する」と答えた。