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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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連載)野鳥~自然を生きる知恵/与名正三…記事一覧

連載)野鳥~自然を生きる知恵/与名正三(野鳥写真家)

 野鳥たちが日々の生活の中で取るさまざまな行動にはどのような意味があるのか、そこには厳しい自然を生き抜く野鳥たちの知恵があるといいます。長年にわたりカメラで野鳥を追いかけてきた与名正三さんが解説します。野鳥の生き生きとした姿をとらえた与名さんの写真と共にお届けします。

与名正三

 よな・しょうぞう 1951年鹿児島県奄美大島生まれ。同県立大島実業高校卒業。大阪写真専門学校中退後、写真スタジオ勤務を経てフリーに。現在、環境アセスメントの猛禽(もうきん)調査をする傍ら、奈良県北西部に生息する野鳥(主に猛禽)を撮影。特に近年生息数が激減しているサシバに関心を持ち、第1回国際サシバサミットで「宇検村サシバの分布と個体写真」をポスター発表。9月から3月までは奄美大島に住み、越冬地で暮らすサシバの保護活動に努めている。著書に「奈良高山の自然」「森のハヤブサ」(いずれも東方出版)。日本自然保護協会自然観察指導員、サシバ愛護会関西~奄美ネットワーク代表。連絡先は〒894-3303鹿児島県宇検村田検355、電話090(8208)8646。与名さんの最初の連載「やまと鳥事情」もご覧ください。 連載一覧はこちら

記事一覧

  • つたの絡まる小枝の先端に止まりさえずるウグイス 1)鳴き声/縄張り主張 争い回避 野鳥たちにとって鳴き声には、どのような意味があるのだろうか。疑問を持っている人も多いと思う。そこで「野鳥 自然を生きる知恵」第1回目は野鳥の声を取り上げてみる。(2020年9月7日)
  • オスからメスに魚を渡すコアジサシ 2)思いやり?/求愛給餌で取った一瞬の行動 野鳥たちは日々の生活の中で、さまざまな相手と対峙(たいじ)しながら生きている。あるときはヒナを守るため、天敵のカラスやヘビ、イタチなどと、激しいバトルを展開したり、縄張り内に侵入した仲間の野鳥を、激しく攻撃して追い払ったりと、厳しい自然を生き抜くために日々身体を張って生活しているのだ。そのような野鳥たちの暮らしを長年観察してきた私にとって、心が揺さぶられる場面がこれまで何度かあった。(2020年10月1日)
  • 激しく争うサシバの若鳥と幼鳥 3)争い/激しくも深追いせず 全ての野鳥たちは、厳しい自然を生き抜くため、日々、天敵や仲間たちと争わなければなりません。特に繁殖期は縄張りやヒナを守るため、休む間もなく争いに明け暮れます。ちなみに野鳥同士の戦いはどのような形で始まり、どのような形で終息するのかご存じだろうか。(2020年11月2日)
  • 水面からコイを引き上げるミサゴ 4)捕食/獲物の習性を熟知 この地球で暮らす全ての生き物は、日々食事を取らなければ生きてはいけません。中でも鳥類は生態系の上位にいるため、他の生き物を捕らえて食べる種類もたくさんいます。したがって、これらの野鳥たちは、捕らえる獲物の住環境や習性を熟知していないと、捕食することは困難です。(2020年12月1日)
  • 巣箱で待つヒナに餌を届けるブッポウソウ 5)色鮮やかな野鳥/目立って求愛、縄張り誇示 日本で観察される野鳥は、およそ670種類。その中の多くは、体色が地味な野鳥たちです。その理由は、あまり派手な色彩だと目立ち、天敵のヘビやカラス、猛禽(もうきん)などに狙われやすいからだと考えられています。特に抱卵を行うメスのほとんどが、地味な茶褐色をしています。とすれば、そのような危険を伴ってでも派手な色彩を持つ意味があるだろうかと、疑問に思えるときがあります。(2021年1月1日)
  • 紅葉した山並みを飛翔するタゲリの群れ 6)群れる野鳥たち/大空へ暖地に餌求め 秋から冬にかけ、大空を飛翔(ひしょう)する野鳥の群れを見かけることが多くなってきます。繁殖期、番(つがい)だけで暮らしていた野鳥たちも、秋には餌を求めて寒冷地から暖地に移動を始めます。(2021年2月1日)
  • 寒緋桜の枝先に止まり獲物を狙うカワセミ 7)春の兆し/さえずりや求愛、行動活発に 2月中旬、厳しい寒さが過ぎて暖かい日が何日も続くと、私たち人間は、ようやく春が来たのだと実感します。またテレビや新聞で報じられる、季節の話題を見ることによって、春を感じる方もいると思います。はたして野鳥たちは、どのようにして春を感じ、行動はどのように変化するのか考えてみたいと思います。(2021年3月1日)
  • 青空を背景にゆったりと飛翔するオオタカ 8)タカの翼/形から種類を見分ける 日本に生息するタカの仲間は22種類。識別は飛翔(ひしょう)する翼の形と、羽ばたきなどで行います。野鳥にとって飛ぶための大切な体の一部「翼」は左右対象で、ほとんどの野鳥の翼は主に、両側の翼それぞれに初列風切羽10枚、次列風切羽12~13枚と尾羽12枚から構成されます。(2021年4月2日)
  • 水中にある岩に止まるササゴイ 9)川辺に集まる野鳥たち/清流の生き物を餌に 日本で生息する野鳥たちの中で水辺をすみかとする野鳥は、サギやカモなど数多くいます。しかし、同じ水辺であっても、里山の清流や山あいの渓流でなければ生きていけない野鳥たちもいます。(2021年5月6日)
  • 淡色型のサシバ。体色は全体に淡い茶褐色 10)体色の個体差)猛禽2種は色彩多様、研究進み判明 私たち人間も人種によってさまざまな肌の色をしていますが、日本で観察される野鳥約670種類の中にも、同じ種類なのに個体の体色がさまざまで、図鑑では年齢や性別の解説が難しい野鳥が2種類だけ存在します。どちらもタカの仲間で、一つは「サシバ」です。(2021年6月6日)