奈良県)奈良・登美ケ丘北中でヒツジ放牧し除草 世話は地域の子供たち
奈良市北登美ケ丘1丁目の市立登美ケ丘北中学校で7日、ヒツジを放牧して雑草を食べてもらい、敷地の除草を行う取り組みが始まった。ヒツジによる除草は除草費用の節約になる上、動物を利用した自然な除草方法として注目されているが、同取り組みではヒツジの世話を地元の子供たちが担うなど、教育的な効果も期待されている。
ヒツジが放牧されたのは同校西側の広さ3500平方メートルの斜面。学校は新興住宅地の中にあり、斜面は広い通りに面している。ここ数年間は放置された状態で雑草や雑木が伸び放題になり、景観を悪くしていた。害虫の発生や枯れ草の火災の発生も心配されていたという。
住民らでつくる同中学校区地域教育協議会が同校の環境整備のため、学校との連携事業として取り組む。ヒツジは、山添村伏拝の観光施設「めえめえ牧場」(神野山観光協会運営)から借りた。同牧場は約60匹のヒツジを飼育しているが、同様の目的でこの4年間に10カ所ほどに貸し出しを行っている。
協議会はヒツジを受け入れるため、放牧地の草刈りをことし3月から11回にわたって実施した。ヒツジは放置された雑草は食べず、新しく生えてきた柔らかい草を食べるという。また、放牧する範囲に柵を巡らせ、ヒツジ小屋も確保した。
今回借りたのは、顔と脚が黒いサフォークと呼ばれる種の大人と子供計4匹。放牧は1カ月の予定という。協議会は同校や地元の小学校、幼稚園から世話係を募り、会員約100人の「ひつじクラブ」が発足した。水やりやふんの回収をするという。子供たちから募って4匹それぞれに名前も付けた。
7日は、ひつじクラブの子供たちが参加して、ヒツジ牧場開設の式典があった。めえめえ牧場の竹内弘昭さんはあいさつで「ヒツジは雨は気にしません。脅かすのは駄目です。世話をする中で、ヒツジを好きになって」と呼びかけた。子供たちは早速、草を手につかんでヒツジに差し出すなど、触れあいを楽しんでいた。放牧されたヒツジの食欲は旺盛で、一心に草を食べていた。
除草を業者に頼めば1回当たり120万~150万円ぐらい掛かるという。これに比べ、ヒツジによる除草はかなり低廉という。協議会は9月にも1カ月間、ヒツジを借りる予定で、これで年間の雑草対策になるかどうか結果を確かめるという。
協議会の村内俊雄会長(62)は「学校の環境整備だけでなく、子供たちが動物と触れ合うことで教育的効果も期待できる。学校を中心に一つの目的のため地域が一緒になって進んでこれた。今後、地域コミュニティーの再構築につなげられれば」と話した。