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拠点・奈良県奈良市 運営者・浅野善一

奈良市、当初の規制緩和案を撤回

一部の市街化区域編入や用途変更

大和都市計画見直しで県に申し入れ

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2010年11月5日
高さ規制が緩和される用途変更の原案に対し、奈良市が見直しを求めている住宅地周辺=同市三碓3丁目
 県内の市街化区域や用途地域を定めた大和都市計画をおよそ10年ぶりに見直す県の原案に対し、奈良市が一部地域について開発規制の緩和を望まない住民の意見を受け入れ、変更すべきでないとする申し入れを行っていたことが、情報公開条例に基づき開示された県の行政文書で分かった。市は前市政が作った素案の一部を撤回した格好だ。
 県の原案では、同市三碓3丁目の0.1ヘクタールは規制が厳しい現行の第1種低層住居専用地域から中高層のマンション建設が可能になる第1種中高層住居専用地域に見直される。これに対し市は、日照など住環境悪化を懸念する住民の意見を重くみて、現行のままにとどめるよう要望。
 また、同市古市町の市街化調整区域の農地など3.8ヘクタール(地権者19人)は、大型店の進出が容易になる第2種住居地域に変更される。これに対し市は、当面、市街化調整区域のままで「特定保留区域」に定めるよう求めている。
 これらの原案は、前の藤原昭市政の要望に基づいて県が作成し、仲川元庸市長も今年6月、これを了承していた。ところが8月に住民を対象に行われた県主催の公聴会では、「地域の合意形成が不十分」などとする厳しい意見が相次ぎ、市があらためて現地調査を実施した。
 同市三碓3丁目については、素案作りの過程で市は当初、都市計画の用途地域を道路の境界などで分かりやすく明示する目的もあって、第1中高層住居専用地域への変更を求めていたが、公聴会では周辺住民らが建物の高さ規制が緩和されることを懸念し、住環境の悪化を訴える公述をしていた。
 また、同市古市町については、公述人が「耕作放棄地がなく、若い後継者もいる。米だけでなくイチゴを作付けし、一年を通じて農作業に従事する家族もいる」(県開示文書)と訴えるなど、農業存続を強く希望し、市街化区域への編入に反対する意見が複数出た。
 これを受け奈良市都市計画課は、同市三碓3目の原案に対し「変更すべきでない」とし、同市古市町の市街化調整区域についても「地権者の合意形成が図られるまでは、特定保留という形で手続きを進めてほしい」としている。
 一方、市街化区域編入の原案が縦覧される前に、地元公民館で大型店の出店説明会が開かれ、住民から「順序が逆だ」として、地域への情報提供の在り方が問われた同市二名3丁目の開発について市は、出店を是認する考えを示している。
 県は年度内の大和都市計画の見直しを目指しており、県都市計画室は「公聴会の公述内容に対し、関係市町村長の意見を文書で求めた。これらを尊重しながら手続きを進めたい」としている。(浅野詠子)
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