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拠点・奈良県大和郡山市 運営者・浅野善一

〈視点〉市長が直接、耳を傾けることの重みは?

奈良市「気軽にトーク」 公園での火気使用 回答を得て

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2011年11月4日  浅野善一
 ことし9月、奈良市の「市長と気軽にトーク」に市民として参加し、自治会行事などでは、公園での火気使用を認められないか尋ねたが、このほどその返事があった。仲川元庸市長はトーク会場で、こうした行事に理解を示し、火気使用の許可を「どういう形でできるか議論してみたい」と前向きに語ったが、検討に当たった担当の市公園緑地課からの返事は、特に前進のないものだった。市長が直接、市民の声に耳を傾け、考えを語ったことに重みはないのだろうか。

寄せられた声305件 800人が参加

 「市長と気軽にトーク」が開始から2年で、参加した市民が延べ800人(9月末現在)、寄せられた声が計305件に上ることが、市広報広聴課への取材で分かった。
 トークは2009年9月、市民参加の協働型社会を目指すとして、仲川市長の誕生とともに始まった。会場は市役所玄関ロビーで、申し込みの要らない自由参加。月2回を原則にこれまでに40回開かれた。
 寄せられた声は、市政への質問や要望、意見、苦情、提案などで、発言した市民には、市の担当者が連絡先を尋ね、検討の結果を知らせている。聞きっぱなしにならないようにしている。また、広報広聴課が寄せられた声の要点をまとめ、各部長に配布、全庁的に情報を共有できるようにしている。
 声を受けて市が対応したものは、同課が確認できている範囲で3件。バリアフリー基本構想の策定や特定の場所の道路補修などという。
「ニュース奈良の声」は、市内の自治会が年末恒例の餅つき大会の継続を、会場にしていた公園が市の規則で火気使用禁止であることを知ったために断念した、という問題を、ことし8月3日付で記事にした。記者が住む地域の自治会での出来事でもあり、この例を挙げて仲川市長に尋ねた。
 仲川市長は、住民の交流のためのそうした行事をぜひ続けてほしいと述べ、「公園は誰のためにあるのか。ルールは住民にとって公園をより良いものにするためにある。ルールが足を引っ張るものになったら考え直さないといけない」とした上で、「現場を確認して、安全を担保する方法があれば、火の使用が一律に駄目とはいえないのではないか」と自身の見解を示した。
 しかし、市公園緑地課からの返事は「以前にも説明した通り」(8月3日付記事)だった。現段階で、火気使用の許可を検討する考えはないというものだ。
 仲川市長がトーク会場で率直に語ったその言葉は、担当課の次元では、しぼんでしまった。
 市広報広聴課によると、トークで寄せられた声を各課が検討した結果は、市長にも報告されているという。
 市に対し、次のような質問をした。
 市長がトーク会場で前向きな回答をしても、その後、担当課が検討して回答する形では、市民が担当課と直接やりとりをするのと変わらない結果になってしまうのではないか。このあたりに「市長と気軽にトーク」の課題はないか。
 長岡伸考・広報広聴課長名の回答があった。
 「即座に処理対応が不可能なものも多分にあるが、すべて市民の方から寄せられた貴重なご意見、ご感想等として受け止めその内容を認識した上で、それぞれの関係課が日常の業務に当たることが、市長とのトークの場を設ける意義でもあり、また重要なことであると考える」
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