2012年4月14日 浅野善一

1000本超 佐保川の桜並木 歩いて数えた

↑満開となった佐保川の桜並木=2012年4月12日、奈良市杏町
↑桜並木の南の終点近くではナノハナ風の花が彩りを添えていた=奈良市杏町
↑桜の本数は数取器で数えた。背景の建物は県立図書情報館=奈良市恋の窪1丁目

 桜の隠れた名所といわれる奈良市の佐保川。どこまでも続く桜並木を見て、いったい何本の桜があるのか知りたくなった。4月12日、記者が数取器を手に、満開を迎えた花の下を歩いた。延長4.5キロ前後に及ぶ区間の両岸を歩き終えると、数取器の数字は1000を超えていた。近畿各府県の川沿いの桜並木の名所と規模を比べてみた。やはり有数といえそうだ。隠れた名所≠ナは控えめすぎるかもしれない。

延長4.5キロ 近畿有数の規模

 佐保川は市中心部を南西に向かって流れていて、桜並木があるのは、同市法蓮町の下長慶橋から同市杏町の大和郡山市境までの区間。

 歩く前に、市観光協会のホームページを確認した。佐保川の桜の本数はソメイヨシノ約1000本となっている。同協会に問い合わせたところ、詳しいことは県奈良土木事務所と市公園緑地課にとの返事。

 まず、同川を管理する県奈良土木事務所に、桜の本数やいつ誰が植えたのかを問い合わせた。

 本数については、2003年度に新聞社から問い合わせがあったのを受けて調べたときの簡単な記録が残っていて、それによると約1100本。どのような方法で数えたのかや、桜の種類については記録がなく不明という。その後は数えていないという。

 誰が植えたのかについては、同事務所が1993年、奈良市に桜の管理を依頼したときの文書に、その経緯に触れたくだりがあり、市民の要望を受けた市が同事務所に桜の植栽を要望したと、記されているという。

 いつ植えたかは同事務所で分からず、市公園緑地課に問い合わせると、記録はないとしたが、「昭和60(1985)年前後に植えたらしい」ということだった。桜の日常的な管理は同課が担っており、堤防上の市道にはみ出した枝の剪定(せんてい)や毛虫の駆除を行っている。

 一方、同市法蓮町の同川岸には、江戸末期に奈良奉行の川路聖謨が植えさせたと伝えられる桜の古木もある。

 記者は、北の上流側からまず左岸を南下し、桜並木の終点で折り返して、今度は右岸を北上した。堤防に沿って植栽されているソメイヨシノとみられる開花中の桜を、木の大小に関係なく数えた。支流が合流する所では支流側にも合流手前付近から桜があり、これも数えた。結果は右岸520本、左岸516本の計1036本となった。

 このほか、ソメイヨシノに交じってシダレザクラが17本、白い花の別種とみられる桜が15本あった。花期が終わりかけていた別種とみられる桜やこれから開花するヤエザクラとみられる木は数えなかった。

近畿各府県の川沿いの桜並木
所在地 川の名称など 延長 桜の本数
奈良県 奈良市 佐保川 4.5キロ 1036本(記者調べ)
大和高田市 高田川 2.5キロ 高田千本桜の名がある
大阪府 八尾市 玉串川 5キロ 1000本
大阪市 大川 4.2キロ 4800本(川沿いの毛馬桜之宮公園を含む)
京都府 宇治田原町 田原川のやすらぎの道 2.64キロ 270本
亀岡市 七谷川の和らぎの道 2.2キロ 1500本
八幡市 淀川河川公園背割堤地区 1.4キロ 250本
兵庫県 小野市 加古川のおの桜づつみ回廊 4キロ 650本
三木市 北谷川 3キロ 不明
西宮市 夙川公園 2.8キロ 1660本
滋賀県 大津市 真野川 1キロ 不明
4月13日に各府県の観光担当課への電話取材や関係自治体のホームページ閲覧で規模を確認できたものをまとめた。和歌山県は該当する情報を得られなかった。

 近畿各府県を対象に、同じ川沿いの桜並木の名所と規模を比べてみた。府県の観光担当課や観光連盟、地元市町の観光協会などに電話取材し、規模の大きいものを挙げてもらった。関係自治体のホームページも利用した。その上で、規模を確認できたものを集約した。

 上位にきたのは、大阪府八尾市の玉串川(延長5キロ、桜1000本)、大阪市の大川(4.2キロ、4800本、本数は川沿いの毛馬桜之宮公園を含む)、兵庫県小野市の加古川の「おの桜づつみ回廊」(4キロ、650本)などで、佐保川を大きく上回るものはなく、いずれも同規模だった。このうち、小野市の「おの桜づつみ回廊」は、市がホームページで「西日本最大級の桜並木」と大胆にPRしている。

 また、佐保川は、規模だけを比べれば、よく知られている京都府八幡市の淀川河川公園背割堤地区(1.4キロ、250本)の3倍以上となる。

 一方、奈良県内では、佐保川のほか、大和高田市の高田川が2.5キロ(本数については高田千本桜の名がある)となっている。

 今回、佐保川の桜並木全区間の両岸を歩いてみて、堤防上には桜がほとんど途切れることなくびっしりと植栽されていることがよく分かった。区間の北側はビル街や住宅地だが、南側は終点が近くなるとのどかな田園地帯で、風景の変化を味わうこともできた。この日は天気も良く、桜を楽しもうと大勢の市民らが花の下に腰を下ろしたり、散策をしたりしていて、そうしたにぎわいや人々が憩う光景も良かった。

 歩いた距離は約10キロ、所要時間は取材をしながらだったため長めの6時間。桜の本数をあらためて数えたり、規模を他府県と比べてみたりすることが、佐保川の桜並木の地域資源としての価値を探ることにも通じるのではないか、取材を経てそう思った。

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