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拠点・奈良県奈良市 運営者・浅野善一

薬師寺、大池かすめる都市計画道路 廃止

県が見直し案を公表 大和中央道の未着手区間も

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2012年5月26日
大池から望む薬師寺(東塔は解体修理のため覆われている)。対岸の寺の手前が大和田紀寺線の経路となっている=2012年5月25日、奈良市七条2丁目
 未着手の都市計画道路の見直しを進めている県は26日までに、県が都市計画決定した奈良市内などの5つの路線または区間を廃止するを公表した。薬師寺の遠望地として有名になった大池をかすめる大和田紀寺線や、大和中央道の未着手区間がある。大和田紀寺線が廃止になれば、大池の景観への影響を心配する必要はなくなる。県は、見直し案に対する意見を県民から募集している。
 この他の3路線は高山富雄小泉線、九条北矢田線、郡山生駒線。
 都市計画道路は都市の骨格を形成する道路として整備される。都市計画法に基づいて都市計画決定されると、計画区域での建築が制限される。都市計画決定は市町村も行える。
 5路線はいずれも1966年までに都市計画決定され、それから50年近くが経過しているが、大和中央道の完成区間と工事中の区間を除いて、いずれも着工に必要な国などの事業認可を得るに至っていない。
 県は2009年、人口や交通量の減少予想を受けて県が都市計画決定した広域幹線道路の見直しを行い、6路線について計画当初の4車線での整備は必要なくなったとする検討結果をまとめた。大和中央道の未着手区間と大和田紀寺線はこの6路線のうちの2路線。今回はこの2路線に付近の関連する3路線を加え、「自動車の交通機能」「歩行者などの交通機能」「自治体のまちづくり計画との整合性」の視点で、2車線道路や生活道路などとしての必要性を検討した。
 大和田紀寺線は、奈良市西部の住宅開発地区の道路網や観光ルートを形成する六条第二阪奈線として都市計画決定された。廃止理由の中に大池はないが、「計画が存続するとなれば議論が必要となる問題」(県都市計画室)。廃止と判断されたのは全区間のうち国道24号以西の同市八条町から大和田町までの約4.8キロ。200メートル余りしか離れていない薬師寺と大池の間を抜けており、池の一部にも掛かっている。同池池畔の薬師寺展望場所から見ると、対岸の寺の手前の所を通ることになる。
 大池から望む薬師寺は、奈良市の写真家入江泰吉さん(故人)の1958年発行の写真集「大和路」で紹介されるなどして、知られるようになった。奈良市が現在、策定を進めている市眺望景観保全活用計画で重点眺望景観の候補の一つにもなっている。また、一帯は1998年に登録された世界遺産「古都奈良の文化財」(薬師寺など8資産群)の緩衝地帯になっている。
 一方、大和中央道の廃止の対象となった未着手区間は、奈良市宝来4丁目から大和郡山市城町までの約3.7キロ。同道路は奈良市押熊町から大和郡山市額田部南町までの14.3キロが都市計画決定され、これまでに9.6キロが完成または事業着手している。未着手区間の経路上にある奈良市七条西町2丁目の山林緑地に県立奈良病院が移転することが決まり、計画の行方が注目されていた。
 県民からの意見募集は6月15日までで、電子メール、ファクス、郵送で受け付けている。問い合わせは県都市計画室、電話0742(27)7520。(浅野善一)
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