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拠点・奈良県奈良市 運営者・浅野善一

下市町、小学校制服在庫の業者に和解金

統合に伴う変更で 38年前、覚書交わす

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2012年7月4日 浅野善一
3校が統合された下市小学校=下市町下市

 下市町で町立小学校の統合に伴い制服が変更になったため、それまでの制服の在庫を抱えたとして、町内の販売業者が町を相手取り損害賠償を求める民事調停を吉野簡易裁判所に申し立て、町が業者に50万円を支払うことで和解していたことが町や業者への取材で分かった。統合されたうちの1校の制服が特殊な色で、児童がいつでも購入できるよう準備しておいてほしいと38年前、当時の学校関係者がこの業者に依頼し、両者で覚書を交わしていた。

 同町の小学校は現在、下市小学校1校。2010年4月に下市南小学校、11年4月に阿知賀小学校がそれぞれ同校に統合された。制服は3校で異なっていたため、3校の教職員、保護者らでつくる統合検討委員会は統一の新しいものに改めることにし、いつでもどこでも購入できるものをという理由で既製品の紺色の制服を選んだ。

 一方、統合前の下市小学校の制服はキャメル色(茶色)と呼ばれる既製品にはない色の生地を使っており、1973年、当時の下市小学校の校長とPTA会長がこの業者に対し、児童が制服、生地、ボタン類をいつでも購入できるよう準備しておいてほしいと依頼し、両者で覚書を交わしていた。業者によると、覚書を交わす直前まで制服の販売業者は町内に4社あったが、他の3社は児童数の減少で採算が合わなくなるなどして、制服の扱いをやめてしまったという。

 この業者は毎年、春の入学時期に間に合うよう、前年の10月に制服の製造業者に対し生地の注文から行っていたという。最初に下市南小学校が統合される1年前から同制服の仕入れを控えていたが、いつでも購入者に対応できるようそれまでに確保していた分が、制服の変更によって行き先のない在庫になった。業者は在庫を102万円と算定し町に請求したが、拒否されたため民事調停を申し立てたという。

 和解に必要な議会の議決は2012年5月10日の臨時議会で行われた。議事録によると、堀光博教育長は和解した理由について「(覚書は)ある種、商法に基づく契約をされている。やはりなにがしかの和解金的なもの、解決金的なものを支払うのが妥当ではないかという経緯で支払うことになった」と説明した。

 業者は取材に対し、「2年間、放っておかれた。町はこちらの在庫数を確認すべきだった」としている。統合前の下市小学校の制服を販売していた業者は、この業者の他に1社あったという。

 統合検討委員会の制服部会の座長だった元阿知賀小学校長は取材に対し、「覚書の存在はうわさでは聞いていたが、教育委員会から情報や指示はなく、部会での議題としても出なかった」としている。

 また、この業者は、町議の妻が代表者になっていることから、臨時議会の質疑では、町長や議員が関係する業者と町との契約を制限した町政治倫理条例に抵触しないのかとの質問もあった。堀教育長は、制服販売の相手が保護者で町との取引ではないため問題はないとの見解を示した。

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