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拠点・奈良県大和郡山市 運営者・浅野善一

参加1社、競争なく 復元工事関連施設 設計

平城宮跡の大極殿院回廊 国交省事務所「やり直し不要」

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2012年10月22日 浅野詠子
復元される大極殿院回廊の完成予想図。右奥が復元済みの大極殿正殿(国営飛鳥歴史公園事務所の公表資料から)

 国土交通省近畿地方整備局国営飛鳥歴史公園事務所(明日香村平田)が先月14日に発注した、平城宮跡・第一次大極殿院建造物復元工事のための工事関連施設などの設計業務(予定価格5082万円)は、公募型プロポーザル方式を採用したものの、東京都荒川区内の1社しか参加がなく、競争相手がないまま、同社の技術提案書のみで選定し、随意契約をしていたことが22日、分かった。同事務所は当初、最低10社が参加可能であると確認していたが、「公募のやり直しは必要ない」としている。

 復元されるのは大極殿を囲む築地回廊や南門などで、設計するのは同工事に関わる資材置き場、木材加工場、倉庫、工事ヤード造成など。プロポーザル方式に従い、技術提案書の提出希望者を募ったところ、当初は30社が入札説明書を求めて関係のホームページからダウンロードしていた。選ばれた1社は、技術者の経験、能力、実施方針などが総合的に評価されたという。契約金額は4725万円だった。

 平城宮跡の国営公園事業の設計や工事などの契約は昨年8月から始まり、これまでに14件、計約7億7000万円の発注があり、予定価格に対する落札率が高止まりの傾向がある。

 同事務所によると、仮にプロポーザル方式の随意契約でなく、公募型の競争入札で参加が1社のみの場合でも中止せず、応札させるという。ただ、「今回の契約を教訓に、参加する業者がもっと増えるよう公募の条件を検討したい」とも話している。

 平城宮展示館の建設など公園工事に伴う一連の設計業務をめぐり、プロポーザル方式に参加した業者が提出した技術提案書については、法人の競争上の利益を擁護する情報公開法の条文が適用されて非公開になる公算だ。

 同事務所が来月に予定している第一次朝堂院広場の舗装工事は、自然環境や木簡などの埋蔵文化財を保護する観点などから反対運動が起きている。

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