奈良県 奈良市西ふれあい広場問題 計画発端の寄付土地、道路の計画区域上、接続道路もなし

2013年6月28日 浅野善一
奈良市作成の西ふれあい広場用地の地図(取得年度ごとに塗り分けてある)に、市が公開している大和都市計画図の一条富雄線の計画区域を重ねた(記者による)

 奈良市が公園建設を目的に市土地開発公社(2012年度末で解散)に用地を先行取得させた西ふれあい広場計画をめぐる問題で、計画の発端とされる1991年の地元住民から市への寄付土地が、都市計画道路の計画区域上だったことが分かった。同土地は接続する道路もなかった。市は当時、障害者の機能回復訓練のための農作業の場にするとしていたが、十分に利用できない可能性があったことになる。この後、西ふれあい広場が計画されており、市は寄付した住民が所有する周辺の土地を次々と公社に買わせている。計画の不透明さは増す。

 市公園緑地課もこうした事実を認めている。

 広場が計画されたのは同市二名7丁目の山林。寄付を受けた土地は同山林の中の約2000平方メートルの田。所有者の住民から障害者福祉に寄与したいと、当時の西田栄三市長(故人)あてに申し出があった。記者が市に請求し、開示された91年7月の寄付採納の起案文書には事業計画書が添付されており、寄付者の意向を尊重して、市総合福祉センターで実施している障害者の機能回復訓練の一環として行う、農作業の場に利用するとある。

 都市計画道路は1966年に県が都市計画決定した一条富雄線。計画では幅16メートル、2車線で、西ふれあい広場用地を東西に縦断している。奈良市が作成した広場用地の地図と、市が公開している大和都市計画図の一条富雄線の計画区域を比較すると、寄付を受けた土地の南側の相当部分が道路の計画区域と重なることが分かる。実際、94年3月の西ふれあい広場の計画図では、同土地の上を通る一条富雄線が描かれている。

 県地域デザイン推進課によると、同線は現在まで事業着手に至っていない。

 また、寄付を受けた土地の周囲は山林などの私有地で、接続する道路はなかった。

 土地開発公社による周辺土地の取得は、寄付から2年半後の94年から00年にかけて行われた。寄付をした住民やその親族からは、山林など計4万平方メートル余りを約16億円で買い取った。住民側には寄付分を何度も帳消しにすることになるであろう売却益がもたらされた。寄付を受けた土地は、広大な西ふれあい広場用地の一部に過ぎなくなった。当時の市長は大川靖則氏だった。

 市の第三者委員会「市土地開発公社経営検討委員会」が11年3月に公表した報告書は、地元市議を通じて住民から土地寄付の申し出があり、これがきっかけで福祉施設と一体となった西ふれあい広場の建設が計画されたようであるとしている。さらに、市議から市に対し、同住民が相続税支払いの負担を抱えているので土地を買ってやってほしい、という趣旨の依頼があったとしている。買い取り価格についても作為的に高額に設定された可能性を否定できないと指摘している。

市民オンブズマンが住民訴訟、市は当時の市長らに損害賠償請求を

 西ふれあい広場の用地取得問題で、市市民オンブズマンの桐山幸矩代表幹事ら4人は今月21日、市が当時の大川元市長と土地開発公社理事長の桐木弘・元助役(故人)の相続人に損害賠償請求するよう求める住民訴訟を、仲川元庸市長を相手取り、奈良地裁に起こした。

 訴えによると、市は昨年10月、公社が同用地約4万8000平方メートルを取得するために金融機関から借りた約18億1263万円にその利息を合わせた約21億5503万円を、公社解散に当たり公社に代わって返済した。大川元市長らは必要性のない土地を高額で公社に取得させた不法行為によって、市に同金額の損害を与えたとしている。

 桐山代表幹事らはことし3月27日、住民訴訟に先立ち、同様の請求内容で住民監査請求を行ったが、市監査委員は5月28日、委員4人による審議が合議に至らなかったとして監査の結論を出さなかった。4委員は中村勝三郎氏(代表監査委員、公認会計士)、中本勝氏(弁護士)、松村和夫氏(議会選出、民主)、井上昌弘氏(議会選出、共産)。

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