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色彩基準超える建物塗り替えなし、看板撤去2件県が景観計画の重点区域で費用助成、応募少なく
県風致景観課は昨年11月から今年3月まで県内重点区域を対象に、周囲の風景になじまない派手な色の商業施設の塗り替えや看板の撤去などの費用の半分を助成する制度を実施したが、応募が2件にとどまっていたことが分かった。 予算額2780万円に対し、消化できたのは看板撤去で交付した約64万円。費用のかかる建物の塗り替えの応募がなかったことが要因だ。県は建物の色を制限するため、昨年11月1日、景観法に基づく届け出制度の運用を開始。助成は先例をつくって制度の周知を図るのが狙いだったが、事業者側は新たな出費に消極的だった。 県は届け出制度と合わせ、県景観計画で特に重点的に景観形成に取り組む区域として、歴史遺産が集まる法隆寺地域沿道と山の辺地域沿道、県への観光の入り口となる西名阪自動車道の郡山と法隆寺、香芝の各インターチェンジ周辺沿道の計5カ所を指定した。同区域では建築面積が100平方メートルを超えるか高さが10メートルを超える建物(戸建て住宅を除く)の塗り替えや新築の際に色が制限される。 助成の対象に該当したのは、これらの区域で県の定めた色彩基準に合っていない計20施設。また広告物については、県屋外広告物条例に基づき昨年11月1日に同様区域で指定した景観保全型広告整備地区の基準に合っていない29点が対象となった。風致景観課はそれぞれの所有者に助成制度を通知した。予算は建物の外壁や屋根の塗り替え費用に2件分2000万円(1当たり上限1000万円)、残りを広告物の撤去費用(同50万円)として見積もった。 しかし、建物の塗り替えに応募はなく、広告物の撤去でいずれも斑鳩町内の奈良中央信用金庫法隆寺支店の屋上看板撤去と旅亭十三屋(三郷町)の沿道看板撤去の2件にとどまった。 規制は過去にさかのぼって適用されないため、既存の建物の色や広告物は現状のままでも違反にはならない。風致景観課によると、建物の塗り替えには2000万円以上を要し、半分の助成を受けても自ら1000万円以上を負担しなければならない。同課は事業者側の反応が鈍かったことについて「景気低迷で設備投資は縮小傾向。将来改修の予定があっても前倒しをしてまではできないということだった。制度と改修時期のタイミングが合わなかった」と説明している。 大宮通りでは9件 県・奈良市が1300年祭控え実施平城遷都1300年祭を前に会場への入り口となる奈良市の大宮通りを奈良らしい景観にするため、県と市は昨年6月から今年1月まで、沿道の建物の色の塗り替えや看板の縮小、撤去の費用の半分を助成する制度を実施したが、このほどその結果がまとまった。応募は9件で、予算額2000万円に対し6割の1220万円が交付された。 予算全額の実施とはならなかったが、県地域デザイン推進課は「急な事業にもかかわらず協力的だった」と評価。事業者側の1300年祭への理解に加え、老朽化などによる改修の時期とタイミングが合ったことも要因のようだ。 対象は、県道奈良生駒線と国道308号を合わせた区間の東は国道24号交差点から西は第二阪奈道路入り口までの約3㌔。建物の色は、今年4月1日に施行を控えていた奈良市景観計画の色彩基準に合わせてもらった。看板は、市屋外広告物条例が施行された平成14年度より前に設置された物について条例に適合するようにしてもらった。 応募したのは店舗などの商業施設が主で、人形販売店は外壁の縁取りの色を青から濃い茶に塗り替え、屋上看板を撤去。レストランは屋根の色を青から黒に塗り替えた。仏具店や宅配すし店、ホテルは看板を縮小するなどした。基準は満たしているものの修景を目的に外壁や塀の色を塗り替えたビルや工場もあった。人形販売店や宅配すし店は施設の老朽化で改修などを考えていたといい、これを応募理由の一つに挙げた。
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