空き家の町家活用、地域資源のデータベース化など論議
大和高田でまちづくりフォーラム
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寺内町散策を楽しむ参加者=2010年7月11日、大和高田市内 |
大和高田市内本町の専立寺本堂で11日、「できることを主体的に取り組むまちづくり」をテーマにフォーラム(県主催、大和高田市本町・市町地区まちづくり協議会共催)が開かれ、シンポジウムなどに80人が参加。町家の空き家バンク設置や地域資源のデータベース化による散策マップづくりなど、県内の4カ所の地域の取り組みが報告された。
住民主体のまちづくりモデル事業として県が助成する「まちづくり協議会」などの実践が報告され、方向性などを論議。国の伝建地区指定から17年が経過し、老朽化する空き家が目立ち始めた橿原市今井町をめぐり、NPO法人今井まちなみ再生ネットワーク理事長の上田琢也さんが空き家バンクの取り組みについて述べた。「市外のニュータウンに住む若い世代がより良い子育て環境を求め、町家への転居を熱心に求めている」と話し、この4年間で賃貸15件、売買2件を成約させたという。
大和高田市本町・市町地区まちづくり協議会事務局長の脇屋大樹さん(専立寺副住職)は、メンバーと3年かけて商店街をくまなく訪ね、50年前のまちを知るお年寄りら数十人から店舗の歴史などを聞き取り調査し、地域資源をデータベース化。これをもとに、商都の近代化遺産と町家の風情が共存する独特な寺内町散策マップをこしらえたと話し、「奈良は大寺院が有名だけど、各地の小さなお寺も今後のまちづくり拠点に」とも。
率直な課題も出し合い、橿原市の八木まちづくり協議会理事の稲上文子さんは、「旧街道の交差点である八木は、かつては宝石箱のようなまち並みを誇ったが、今では、ごった煮のようなまちに変ぼうして残念」と報告。そこで「これは」と思う建物を積極的に登録有形文化財にするよう推進し、八木の偉人を近代史から掘り起こすなどして、魅力づくりに奔走する様子を話した。
吉野町の吉野山まちづくり協議会副会長の東利明さんは、まちの異変についても報告。サクラのシーズンだけ貸し店舗で営業する県外業者が増え、花見の時期が終わると長らくシャッターを下ろしてしまい、まちづくり活動にも参加しないという。しかし同協議会発足を機に、住民の側に景観形成に対する意識が高まり、自販機のカバーを吉野材で設けるなど「木の地産地消に弾みをつけている」と力を込めた。
基調講演は近畿大学教授の久隆浩さん。映画「大和川慕情」の上映会のほか、大和高田市内のまち歩きも催され、長谷本寺の黒瀬雅史住職は「千年以上昔の仏像が市の真ん中の寺に2体もあることは奇跡的」と参加者に語った。(浅野詠子)
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