地域の身近な問題を掘り下げて取材しています
拠点・奈良県大和郡山市 運営者・浅野善一

大屋根設置へ、「理解得られた」と県

街頭アンケート、有識者意見聴取、パブコメ結果受け

近鉄奈良駅前行基広場 県民グループ「結論ありき」と反発

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2010年9月10日
 奈良市の近鉄奈良駅前行基広場に県が大屋根を計画している問題で、県は10日までに、設置の是非について、同広場での街頭アンケートと地元や観光、寺社の関係者、有識者への意見聴取を実施した。調査結果によると、アンケートでは7割が賛成意見、有識者らへの意見聴取では大半が賛成意見だった。併せて実施していたパブリックコメントには33件の意見が寄せられたが、賛否は半々だったという。県はおおむね設置への理解が得られたとして、計画を具体化させることを決めた。県がすでに結論を出していることに対し、計画の再検討などを求めている県民グループ「LOVE! NARA!(ラブ・ナラ)」(大八木恵子発起人代表、18人)は「流れを見ていると、結論ありきでお膳立てをしているように思える」と反発している。 有識者らの賛否一覧
 県道路・交通環境課によると、アンケートは先月5~13日に土・日曜を除いて実施。617件の回答があった。回答は選択式で「設置が必要」(38%)と「どちらかといえば必要」(32%)を合わせた賛成意見は70%、「設置する必要なし」(11%)と「どちらかといえばなくてよい」(9%)を合わせた反対意見は20%だった。「どちらでもよい」も9%あった。賛成理由は「日よけ、雨よけに便利」など、反対理由は「今のままでよい」などだった。回答者の居住地は県内・外がほぼ半々だった。
 有識者らへの意見聴取では、地元商店街・自治会、商工、観光、寺社などの関係者や都市計画、景観などの学識経験者合わせて25人を選定した。同課がまとめた結果によると、21人が利便性などを理由に賛成意見を示した。一方、明確に反対したのは1人だった。
 パブリックコメントでは、同課によると賛成意見では「待ち合わせや集合場所として利用されているのに雨や夏場の暑い日にとても不便」、反対意見では「必要性が感じられない。財政赤字の時代にする工事ではない」などがあった。
 県道路・交通環境課は「寄せられた意見にあった奈良らしいデザイン、材質など、もう少し幅広く検討を加えた上で、案を作り、地元に説明。地元の意見も参考にして、設計や奈良市の景観に関する手続きを進めたい」としている。
 これに対し、「LOVE! NARA!」の大八木発起人代表は「アンケートは必要だが、炎天下で問われれば屋根が欲しいと考えてしまう。実施したのが晴れの日なのか雨の日なのか公開してもらいたい。県に話し合いの場を求めているが、そういうものも用意してもらえないのは民主的でないと思う」と批判している。
 大屋根をめぐっては、今年7月9日、設計の入札の公告で計画の存在が明らかになった。古都奈良の玄関口の景観に影響することや、県民が事前に計画を知る機会がなかったことから、県民の間から反対意見や県の事業の進め方に対する批判が出た。県は同月21日、「敷地内の地下埋設物について精査の必要が生じた」として、突然、入札を中止。先月2日から今月1日までパブリックコメントを実施、県民の意見を募集していた。(浅野善一)
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