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拠点・奈良県大和郡山市 運営者・浅野善一

雨天日数、年間3割満たず 屋根必要か

観光客も梅雨、真夏避ける傾向

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2010年9月26日 浅野善一
 県が奈良市の近鉄奈良駅前行基広場に計画している大屋根の目的は雨よけ、日よけ。しかし、奈良市で1年間に雨が降る日は平均約100日。3割に満たない。観光客も統計上、梅雨、真夏は避ける傾向にある。年間を通してみれば、設置の理由にされている期間は一部。春光を浴び、さわやかな秋空を仰ぐ開放感を犠牲にしてまで大屋根を設置する必要はあるのか。
 気象庁の統計によると、奈良市で1日に1ミリ以上の雨が降るのは1971年から2000年までの30年間の平均値で105.8日。年間に占める割合は約29%。1時間で1ミリだと傘が要るが、1日で1ミリならパラパラと降る程度だ。月別で最も多いのは6月で11.9日、最も少ないのは1月で5.8日。さらにやや強い1日に10ミリ以上の雨となるとその半分以下の42.7日。
 一方、奈良市がまとめた「市観光入込客数調査報告」で2009年の月別変化を見てみる。
 奈良市を訪れた観光客は年間で1396万6900人。月別で最も多いのは11月で160万3300人、最も少ないのは6月で99万1400人。雨の多い6月に少ないことが分かる。
 大屋根の目的の一つに団体の集合場所としての利便性を高めるというのがある。修学旅行で奈良市に宿泊した学校は年間で1042校。月別で最も多いのは10月で270校、最も少ないのは1月でゼロ。6月は90校だった。学校の場合、授業なども影響するため一般観光客の傾向とは必ずしも一致しないが、梅雨や真夏は盛時から外れている。
 行基広場を利用する観光客数を知る手かがりとして、近鉄奈良駅観光案内所の利用状況がある。年間の利用者数は10万8650人。月別で最も多いのは11月で2万2475人、最も少ないのは6月で4441人。やはり雨の多い6月は少ない。
 億単位の金をかけてそれほどに得るものはあるのか。駅前のささやかな広場の開放感が奪われてしまう損失の方が大きくないか。県道路・交通環境課は「日本は温暖多雨な気候。観光客が減る閑散期をどうするか、どうコンスタントに観光客に来てもらうかが命題」として、玄関口である行基広場に雨よけ、日よけの対策を講じることがもてなしにつながり、観光客増につながると説明する。
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