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観光パンフに発行日を県内12市と県の主要35点、4分の3が記載なし情報の新旧 分からず
観光パンフレットは発行日が記載されていないことが多い。県内全12市と県の主要なもの35点について調べたところ、4分の3に記載がなかった。担当者の多くは「更新を重ね、最新の情報を載せている」としたが、利用者には発行日がなければ最新かどうかは分からない。一方、発行日があれば情報の新旧を知ることができ、利用者に親切だ。また、将来、観光に関する歴史資料にもなる。観光に力を入れる奈良県である。パンフレットへの発行日の記載を提唱したい。
記載の有無を調べたパンフレットは、各市と県それぞれの観光担当課の窓口で「最新の主要な観光パンフレットを」と求めて入手したものが中心。1自治体当たり平均2~3部となった。発行は当該の市の他、観光協会や商工会、まちづくり団体などもあった。 形態はちらし1枚から折り畳み式、冊子形式のものまで大小さまざま。観光地の説明や地図、伝統行事の日時、宿泊施設、飲食店、交通機関などの情報を載せている。この中には電話番号や料金、営業時間、行事の開催日時、交通機関の運行時刻など変動する可能性のある情報も多い。
一方、発行日に関する記載が全くないものは、桜井市の「ひみこの里・記紀万葉のふるさと『さくらい』六街道を巡り歩く」など、半数を超える19点に上った。五條市の場合、二つのパンフレットのうち「GOJO MAP」には発行日の記載があるが、「GOJO CITY GUIDE 五條」にはなかった。こうした例のように記載をしている市でも一貫している訳ではかった。 各市と県に、発行日の記載がないパンフレットについて、その発行日や記載していない理由を問い合わせた。 これらの発行日は2009年から2011年が大半で、最新性の点で、発行日を記載しているパンフレットとの目立った違いはなかった。どちらの場合も、早いものでは単年度内の消化を前提に印刷し、増刷の際に変動のあった情報の確認を行っていた。 発行日を記載していない理由で多かったのは「意識して入れていない訳ではない。渡しているのはその年度の版で、常に最新版を渡しているという認識だった」(桜井市観光課)、「入れなければという認識がなかったことが大きい」(県ならの魅力創造課)、「増刷更新時に情報を精査している」(宇陀市商工観光課)などだった。 これに対し、発行日を記載していた市はその理由について「観光情報は変化が激しい」(大和郡山市地域振興課)、「掲載後、実情が変わっても作成時はこうだったと説明できる」(奈良市観光戦略課)、「後になって、いつ作ったものか誰が見ても分かる」(大和高田市広報情報課)などを挙げた。 発行日記載の是非については「(取材の)指摘の通り」(葛城市商工観光課)など、ほとんどが肯定的だった。その上で、記載のないパンフレットについては「今後、全てに入れるようにしたい」(橿原市観光課)、「次回の印刷から可能なら入れたい」(生駒市産業振興課)などと明言した。在庫管理を目的とした数字のみを記載しているものについても「この指摘を機会に今後、『発行』と明記することも検討したい」(天理市観光課)などとした。 旅行ジャーナリスト山本純二さん(斑鳩町在住)の話発行日は断然あった方がいい。ないと、情報が新しいものか古いものか分からない。送ってもらったパンフレットが古かったにもかかわらず、それが分からず、うのみにして原稿を書いて料金や電話番号を間違ったことがある。発行日がないものは信用できない。最近は祭りの開催日時も流動的。毎年、出せないところもあるかもしれないが、伏せるよりは出してほしい。安村克己・県立大学地域創造学部長(観光社会学)の話観光パンフレットは情報が流動的で見る人も最新の情報を求める。長く使いたいという場合もあるかもしれないが、出版物であれば、内容に関わりなく発行日を入れるのが基本であり、発行者の責任。 (浅野善一) |
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