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拠点・奈良県大和郡山市 運営者・浅野善一

パブコメ告知 県広報紙、利用ほとんどなく

県、過去3年間 50件中わずか3件

「締め切り早い」「掲載スペース限りある」と敬遠

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2011年9月9日
パブリックコメントを告知する方法として、利用度が低い県民だより
 県が実施するパブリックコメント(意見募集)を告知する方法として、県の広報紙「県民だより」(月1回発行)がほとんど利用されていない。県行政経営課などへの取材で分かった。掲載は、過去3年間で50件中わずか3件だった。「締め切りが早い」「掲載スペースに限りがある」などと敬遠されているのが理由だ。主な告知の方法は県のホームページへの掲載だが、県民だよりは全戸配布の自前の媒体。パブリックコメントは県民の県政への参加の機会となるだけに、もっと生かしてほしい。
 パブリックコメントは行政の意志決定に住民の意見を反映させるのが狙い。県パブリックコメント手続要綱は、知事、教育委員会、公安委員会、警察本部が基本的な計画や条例、規則、審査基準、広く県民に利用される公共施設の計画などを策定するときは、その実施に努めるよう求めている。
 同要綱は公表の方法として、県のホームページへの掲載のほか、県庁の県政情報センターと県の出先機関など県内5カ所に設置された県民お役立ち情報コーナーへの備え付けを必須とし、県民だよりへの掲載や報道機関への発表などは任意としている。
 行政経営課によると、2008~10年度のパブリックコメントの実施件数は50件。年間で16~17件だった。この期間の県民だよりを確かめたところ、告知が掲載されたのは、河川課が08年度に実施した「紀ノ川(吉野川)水系河川整備計画の策定」と09年度に実施した「淀川水系(県域)河川整備計画の策定」、道路・交通環境課が10年度に実施した「県交通基本戦略の策定」の3件だった。多くが任意の告知方法については報道機関への発表を選択していた。
 この50件に寄せられた各意見数は、100件を超えたものが4件あった一方で、ゼロというのも9件あった。
 インターネットは、総務省の2010年版情報通信白書によると、高齢者層や低年収層で普及率が下がる。新聞やテレビは報道されるかどうかが不確実。一方、県民だよりは県内55万世帯へ自治会などを通じて、ほぼ全戸配布されており、多くの県民の目に触れるという点で最も確実性が高い。
 にもかかわらず県民だよりへの掲載が必須でないのはなぜか。行政経営課は理由として「県民だよりはベストと考えるが、締め切りが2カ月判前の前々月18日と早く、スペースを確保できても少し。掲載希望が多く、緊急度や重要度から落とされることもある」と掲載が不確実である点を挙げる。
 広報広聴課によると、県民だよりはA4判24ページ。パブリックコメントの告知は「情報ファイル」の「募集」欄に掲載される。同欄の記事1件当たりの規定字数は270~280字という。
 実際に県民だよりを利用しないのはなぜか、10年度に実施された17件のパブリックコメントの各担当課に聞いた。「掲載内容が締め切りまでに決まらなかった」としたのは、こども家庭課と県警警務課だった。掲載スペースを理由にしたものでは「紙面に限りがあるので、掲載は無理と諦めて選択しなかった」(ならの魅力創造課)、「紙面が許せば載せたいが、イベント告知と違いスペースを要する」(南部振興課)などがあった。このほか「パブリックコメントの内容が審査基準の部分的な変更だったため」(建築課)、「報道発表は県民だよりと同様の周知が可能でインパクトがある」(地域デザイン推進課都市計画室)という理由もあった。
 一方で県民だよりに対する認識が不十分で、この取材を機に利用を考えたいとする声も複数あった。例えば消費・生活安全課は「選択肢から漏れていた。今後は挑戦みしてみたい」とした。
 単純に比較はできないが、市部にも広報紙の利用状況を取材した。奈良市の場合、月1回の発行だが、市広報広聴課によると、09年度は10件のパブリックコメント全てについて、10年度は10件中7件について告知を載せた。生駒市の場合、月2回の発行だが、市企画政策課によると、11年はこれまでに14件のパブリックコメントを実施し、ほぼ全てについて載せたという。一方、大和郡山市企画政策課は、全てを載せているわけではないとした。
 県行政経営課は「パブリックコメントを実施する部署から事前に相談があったときには、一人でも多くの人に見てもらえるよう、ホームページだけでなく、ほかに手段がないか問いかけ、また、いろんな手段で周知を図るよう働きかけていきたい」としている。(浅野善一)
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