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公園の遊具の色 なぜ、青ばかり自然や町並みとの調和は
奈良市の公園の遊具の色は、なぜ青ばかりなのか。同市だけでなく、県内のほかの地域でもよく見かける。理由には、子供たちの喜ぶはっきりとした色で、かつ派手すぎないといったことなどがあるようだが、一歩引いて公園の木々や周囲の町並みの中で見ると、釣り合いも気になる。遊具の色は、どのように決まっているのだろう。自然景観や都市景観に調和させたり、住民参加で色を決めたり、もっと多様にできないものか。
奈良市六条西6丁目の1号街区公園は新興住宅地にある。遊具は定番の滑り台やブランコ、ジャングルジム、鉄棒など。色は全て青だ。植栽もあり、春はサクラ、夏は緑、秋は紅葉が美しい。こうした環境の中で、青一色の遊具は際立つ。同時に画一的な印象も与える。周囲が樹木の緑だと、寒色系ばかりということにもになる。 かつては若草色に統一 奈良市
青のほか、やはり原色の黄や赤も使っているが、赤はワンポイント程度にとどめている。赤一色にした公園の周辺住民から苦情が出たことがあるためだ。 県内のほかの地域はどうか。県北中部の市部の担当課に聞いた。奈良市と同様、色を決めているところはなかった。業者が設置した当初の色を維持しているところがほとんどだった。 大和郡山市も青は多いとした。市都市計画課によると、公園には植栽があるので、そうした類いの色を選び、奇抜な色は避けている。黄や赤は少ないという。 生駒市は「赤、青、黄、緑が多い」(市公園管理課)とした。 天理市は赤、黄、青などの色を組み合わせているという。市まちづくり事業課は「町中では景観はあまり関係ない。山手であれば、櫟本高塚公園のように木製のものや茶色のものなど、自然色の遊具を設置している」とした。 大和高田市は、一つの公園の遊具が全て同じ色ということはないとした。市都市計画課によると、明度を抑えた上で、楽しいイメージがわく色として、ライトブルーやピンク、赤、ライトグリーンなどを使っているという。 橿原市は「赤、黄、青の子供が喜ぶ原色を使っている」(市まちづくり推進課)という。一方で、都市計画法の風致地区にある香久山公園の遊具は濃い茶色とした。 桜井市は「赤、青、白がよく使われている」(市都市計画課)とした。 香芝市は青、緑が多いとした。市公園道路維持課によると、芝生の上は緑、土の上は青という例が多いという。 県が設置している公園もある。県公園緑地課によると、遊具の色は「各公園のコンセプト」に合わせているという。近隣住民を対象とした斑鳩町の竜田公園の滑り台は青。河合・広陵の両町にまたがる馬見丘陵公園には、滑り台を中心にした大型複合遊具があるが、色は園内にある古墳のイメージに合わせて茶。奈良市の大渕池公園は子供がテーマといい、タコをかたどった大型遊具はピンクだ。 取材した各市によると、地域住民から遊具の色に対する要望はほとんどないという。あれば応じるとした市もあったが―。 自然が持つ色を借りる 東京都八王子市の試み
対象は、市役所近くの東平岡公園にある「ウオール」と呼ばれる壁状の遊具。地元住民に実際に色を塗り替えてもらい、景観の変化を実感してもらう狙いだった。 色の選択は、専門家の指導で、公園にある自然が持つ色を借りるという方法で行った。木々の葉や土、石などの色を色見本帳を使って測った。季節が秋だったため、紅葉の赤や黄などを組み合わせたデザインとなった。遊具はそれまで白と水色の組み合わせだったが、塗り替えで、公園の自然風景に溶け込む感じになった。 市市街地整備課の草間亜樹主査によると、同公園の指定管理者が取り組みに共感して、残った塗料で他の遊具や柵も塗り替えたという。同主査は取材に対し、「奈良や京都と違って、八王子は歴史が浅く、景観をイメージしにくい。ごく身近な所をどう工夫するかにかかっている」と話した。 奈良市は八王子市より早く景観行政団体となり、2010年4月に市景観計画の運用を始めている。 遊具の業者にも色について聞いた。 東京都渋谷区の遊具製作販売会社「アネビー」は、ヨーロッパの遊具の輸入販売も手がける。熊尾重治社長によると、遊具の色は国によって違い、ヨーロッパではそれぞれに何となく国の色があって、遊具の色もそうした統一感を反映しているという。一方、日本の遊具の色には、そうした統一感はみられないという。 その上で、「遊具の色はそれを置く環境によって変わるもの。周囲がカラフルであれば、遊具もカラフルに。周囲が落ち着いた色であれば、遊具も落ち着いた色に。ただ、行政は安全で長持ちすればいいという考え方で、色にはあまり関心がないようだ」とした。(浅野善一、末尾の遊具業者の話は11月15日に追加) |
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