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〈視点〉取りすぎ税金の返還規定の公開、自治体間で差奈良市は開示請求必要、鎌倉市はHPで閲覧可能固定資産税の評価ミスなどで、自治体が取り過ぎていた税金を納税者に返還する場合、地方税法が定めた5年分の還付を超えて独自の内部規定を設け、最長で20年分の返金に応じている市町村があることを「奈良の声」は報じたが、その規定の公開方法は自治体間で大きな差異がある。例えば納税者の数が県内最大の奈良市は、市民がこの規定を知ろうとすれば、開示請求の手続きが必要になるが、ホームページで積極的に公表している市もある。 地方税法の時効分を超え、奈良市が自主的に返還する内部規定を設けたのは1991年。国家賠償法や判例を根拠に20年を限度とする「固定資産税及び都市計画税に係る返還金の取扱内規」を定めた。国の制度では追いつかない納税者の不利益を、市が率先し補填(ほてん)しようとする姿勢は評価できる。 しかし、この規定を住民はすぐに見ることができない。なぜなら市は、情報公開条例に基づく開示請求の手続きを通してのみ公開しており、開示まで2週間近く待たされることになる。 これでは情報公開制度の四角四面な運用である。なぜなら固定資産税の土地・家屋の評価は、納税者が申告することができず、不適正に高い課税が発生した場合、百パーセント行政の側に過失があると考えられるからだ。内規の公開を求める人に対しては速やかに「情報提供」することが望ましいだろう。 すでに実践している市もある。例えば、神奈川県鎌倉市は、市の資産課税課のホームページを開くと、「過誤納に係わる返還金支払要綱」を瞬時に閲覧することができる。 これに対し、奈良市のように情報公開制度の対象として運用すると、納税者は、市役所に出向いて閲覧するか、郵送を求める手続きをすることになる。郵便で受け取る場合は、事前に諸費用を納付する決まりがあり、問題の内規なら、たかだか6枚の文書の複写代60円と送料の90円を支払うために、別に現金書留の費用500円が必要になる。 市役所から遠く離れた地区の人々はこうして、行政文書を得ることが常である。奈良市文書法制課の情報公開係は「情報公開請求の開示か情報提供にするかの判断については、行政文書の種類や内容に応じて各課の判断となる」とする。 とりわけ同市では、管理職2人が固定資産税の延滞金を着服する事件が昨年8月に発覚したが、被害額の約2200万円は弁済されておらず、納税者の市に対する信頼はまだ回復していない。こういうときだからこそ、過誤納金の返還規定など、納税者の権利に関係する制度については積極的に情報提供をしてもよいはずである。 |
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