奈良県の大淀町情報公開審査会(池田洋行会長)が、町土地開発公社は文書の開示請求に対応できる体制を早急に整えるべきとして、出資者の町に強く指導を求めていたことが分かった。町情報公開条例は、町が2分の1以上出資している法人に対し、情報公開を実施するよう努力義務を課している。
町土地開発公社は町が100%出資して設立した法人で、現在の理事長は南光昭・副町長。このほか8人の理事または監事は町の部長級職員と町議が就任している。職員は町の職員が兼務し、事務局は町企画政策課内にある。一方、町情報公開条例は住民らに対し、町が保有する文書の開示請求権を認めている。
町によると、昨年11月、町に対し、土地開発公社が保有する文書の開示請求があったが、町は町の保有する文書ではないとして、文書不存在で非開示とした。請求者は、公社は町の所属機関で文書は町のものとして、非開示決定の取り消しを求める異議申し立てを行った。町の諮問を受けた町情報公開審査会はことし2月、公社は町とは別個の法人であり、町の決定は妥当との答申をまとめた。
ただ、町情報公開条例が「町が2分の1以上出資している法人は、その管理する情報の提供に努めるものとする」と定めていることから、審査会は「今後、公社が町に準じた形で情報公開ができる体制を早急に整えるとともに、できるだけ早い時期から情報公開を行っていくよう、町は公社の出資者の責任として、積極的に指導・監督を行うべきである」との意見を添えた。
公社事務局によると、昨年10月、直接、公社に対し開示請求があったという。公社は、対応できる体制が整っていないとして、請求を受け付けなかった。しかし、公社理事会はこれをきっかけに、また審査会の意見も踏まえて、開示請求に対しては町情報公開条例を準用する形で対応していくべきとの意思統一を図ったという。事務局の担当者は「それまで公社への開示請求はなかった。前任者の時代もなかったと聞いている」としている。