2014年2月20日 浅野善一

奈良県:奈良市取り壊し決めた旧都跡村役場 「地区の魅力」と地元市立公民館が2012年、歴史講座で紹介

 文化財的価値について議論しないまま、奈良市が取り壊しを決めた昭和初期の近代和風建築、旧都跡村役場(同市四条大路5丁目)。2012年、地元の市立都跡公民館は住民らを対象に開いた歴史散策講座で、都跡地区に残る歴史的建物として紹介していた。

 同公民館を管理する市生涯学習財団がホームページで講座の様子を紹介している。それによると、2012年11月29日、「建物で見る歴史探訪」の名称で、「都跡地区に現存する歴史的な建物の建築的特徴やいわれについて学び、都跡の文化や歴史を知ってもらうことを目的として開催」された。地元の住民を含む市民25人が参加した。

 地区には奈良時代の唐招提寺や薬師寺もあるが、公民館によると、住民が気づいていない地区の魅力を知ってもらう狙いがあり、江戸時代から昭和にかけて建てられたものが選ばれた。旧都跡村役場のほか、築200年の庄屋建物、江戸時代後期の民家、旧都跡小学校の校舎を55年前に移築した集会所の計4カ所を半日掛けて訪ねた。案内は市教育委員会文化財課の職員が務めた。

 旧都跡村役場では、築80年の建物が公民館分館や市連絡所として現在も使われていることに対し、参加者から驚きの声があったという。このほかにも講座への感想として「近くに暮らしながら、知らなかった身近な遺産に発見と驚きがあった」「地元のことがよく分かり、再度見直すきっかけになった」「普段、何気なく見ていた所も説明を聞いて、とても興味深く感じられた」「建物の保存はとても大変だと分かった」という声がホームページで紹介されている。

 泉森由貴館長は講座の開催当時、旧都跡村役場について取り壊しの話があることは耳にしていたといい、「今でないとこの風景は見られないかもしれないと思った」と話す。

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