2014年4月17日 浅野善一

奈良県:奈良市・旧都跡村役場、歴史遺産ある風景 取り壊しなぜ急ぐ

↑旧都跡村役場の向かいは奈良市立都跡小学校。建物前には時折、児童の姿も=2014年4月16日、同市四条大路5丁目
↑旧都跡村役場は唐招提寺や薬師寺に続く通りに面している。写真は先月まで公民館分館として使われていた役場庁舎=2014年4月16日
↑下見板張りの壁の際にハナニラが咲いていた
↑先月まで市の連絡所として使われていた旧都跡村役場議事堂。さびた歩道橋や郵便ポストなど辺りには町の生活感が漂う=2014年4月16日
↑町の通りに歴史的建築物がある風景=2014年4月16日
↑隣の市立都跡幼稚園の花壇のチューリップが木造庁舎に彩りを添えていた=2014年4月16日
↑隣にある現代建築の市消防団都跡分団詰所の外壁は、旧都跡村役場の下見板張りを模したような形状。地元の人に旧役場への愛着があったのだろうか=2014年4月17日
↑連絡所廃止の案内が掲示された旧都跡村役場=2014年4月16日

 昭和初期に建てられ、近代和風建築として貴重とされる、奈良市の旧都跡村役場がこの夏にも、市によって取り壊される。文化財的価値が報告されているにもかかわらず、なぜ、保存活用の可能性を検討しないまま、結論を急ぐのか。町に歴史遺産がある風景をカメラでとらえた。

 県教育委員会が2011年3月にまとめた報告書「奈良県の近代和風建築」は、旧都跡村役場について「最小規模の庁舎と議事堂が、ほぼ当初のままセットで残っている点で、貴重な存在」と評価した。

 報告書によると、県内の近代建築に和風様式が広まったのは、奈良公園に建てられた洋風様式の旧帝国奈良博物館本館が周囲の風景にそぐわないと、批判されたためとされる。和風様式は公共建築でも多く取り入れられ、旧都跡村役場はそうした流れをくむものという。

 取材では、建造物に詳しい文化財関係者の「文化財的価値は間違いない」との声も聞いた。市の文化財行政に責任を持つ市であれば、自ら保有する歴史的建築物について、十分に検討する責任があるはずだ。

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