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拠点・奈良県奈良市 運営者・浅野善一

奈良県市町村総合事務組合 仕組債損失問題を問う―記者の住民訴訟(1) 20億円賠償請求、怠るのは違法 管理者を相手取り提訴

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2013年4月26日 浅野善一

 奈良県市町村総合事務組合が投機性が指摘されている仕組債の購入・売却で20億円の損失を出した問題で、記者は組合の管理者小城利重・斑鳩町長を相手取り、損失は地方自治法などに違反しており、仕組債を購入・売却したときの管理者や職員への損害賠償請求を怠っているのは違法、との確認を求める住民訴訟を26日までに奈良地裁に起こした。

 記者は組合が仕組債を保有しているとの情報を得て、昨年3月、この問題の取材を始めた。組合は仕組債を売却し、巨額の元本割れが発生していたことが分かった。6月、最初の記事を掲載した。以後、さまざまな角度から取材し、組合の責任を問うた。しかし、組合は問題の原因究明に取り組もうとも、住民への説明責任を果たそうともしなかった。記者は取材で明らかになった事実に基づき、一住民として権利を行使することにした。12月、地方自治法に基づいて住民監査請求を行ったが、棄却されたため、住民訴訟に手続きを進めた。提訴は3月15日。

 訴訟で問題にしているのは次の事実。

 市町村などの事務の一部を共同で処理する一部事務組合である同組合の主な仕事は、県内の市町村職員などの退職手当支給事務。市町村などが毎年支出する負担金を資金として手当を支給し、余った資金を退職手当基金として積み立てている。仕組債は同基金の運用を目的に購入。このうち、2002〜08年(当時は県市町村職員退職手当組合)に購入した13銘柄計55億100万円を、退職手当資金の不足による基金の取り崩しで11年3〜12月に売却した際、元本割れして20億6590万円の差損が生じた。

 組合が購入した仕組債は、米ドルに対する円相場などに連動して金利が変動する構造で、償還期限が20〜30年と長い。満期まで保有した場合のほか、早期償還になった場合も元本が償還され、当初の1〜2年間は高い利息を得られるが、円高が進むと利息が付かない塩漬け状態に陥るうえ、市場性が低いため満期前に売却すると大きく元本割れする恐れがある。

 一方、地方自治法や地方財政法は、地方公共団体の現金や基金の保管、運用について、確実な方法で行わなければならないとしており、これは、元本が保証されている▽支払いに支障が生じない▽換金容易な方法である―ことを指すとされている。組合の基金条例にも同様の規定がある。

 訴えで記者は、基金の取り崩しは02年度以降、毎年行われており、資金不足は容易に予見でき、仕組債を満期まで保有し続けることができないのは明らかだったと指摘。それにもかかわらず仕組債を購入、売却し、損失を発生させたことはこれらの法律、条例に違反していると主張している。

 組合は25日の第1回口頭弁論で、仕組債13銘柄のうち12銘柄については、住民監査請求が財務会計上の行為である仕組債の購入・売却のいずれの日からも、請求の期限である1年を経過して行われており、不適法であるとして訴えの却下を求めた。残る1銘柄については棄却を求めた。

 第2回口頭弁論は6月14日に開かれる。

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