2013年10月10日 浅野善一

奈良県:奈良市議政務調査費、人件費の支出先氏名・住所 非開示取り消し訴訟 奈良地裁「個人情報に該当」、請求棄却

 奈良市が、市議会議員の政務調査費の人件費に関する開示請求に対し、支出先の氏名や住所を、個人情報を理由に非開示としたのは違法として、「奈良情報公開を進める会」(神野武美代表)の8人が市を相手取り、非開示処分の取り消しを求めた訴訟の判決言い渡しが10日、奈良地裁であった。

 牧賢二裁判長は、支出先の氏名や住所について、市情報公開条例が開示の対象外としている、個人に関する情報に該当するとして、請求を棄却した。

 判決によると、神野代表らは2012年9月14日、市情報公開条例に基づき、市議5人の2011年度政務調査費について、人件費3200円〜44万円の領収書などの証拠書類を開示請求した。

 これに対し、奈良市は同月27日の開示決定通知書で、領収書の債権者と雇用契約書の被雇用者のいずれも氏名や住所など一部について、「個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものであり、公にすることにより、個人の権利利益を害する恐れがある」との条例の規定を適用し、非開示とした。

 神野代表らは、議員の政務調査という公務の遂行に対して、人件費という名目で公金を支出しており、氏名や住所は個人に関する情報に当たらないとし、内容が十分に公開されなければ、家族や友人、支持者への給付、後援会などの政治活動への流用といった不正な利用を招きかねない、などと主張した。

 牧裁判長は判決理由で、個人の思想、信条、健康状態、所得、学歴、家族構成および住所などの私事に関する情報はもちろん、個人に関わりのある情報であれば、原則として条例が開示の対象外としている個人に関する情報に当たるなどとし、支出先の氏名や住所について市に開示義務はないとした。

 神野代表は判決に対し、「情報公開訴訟の本質を全く理解していない。奈良市情報公開条例は知る権利を憲法上の権利と位置付けているにもかかわらず、判決には憲法の「け」の字も出てこない。条例では市の情報は原則開示で、非開示は例外。非開示には実質的な理由がいるが、全く無視している。個人識別情報イコール他人に知らせたくない情報と決めつけ、全部押し通している」と批判した。

 神野代表らは控訴する方針。

 (神野代表の話は10月11日に追加)

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