2014年3月7日 浅野詠子

奈良県:奈良市元議長土地の買収に対する監査請求、疑問点指摘も棄却

 1990年代、奈良市政の最高実力者として君臨した故、浅川清一元議長の土地224平方メートルを、市が市の外郭団体を介して法外な高値の4億5500万円で買収した疑惑をめぐり、当時の最高責任者だった大川靖則元市長らに損害賠償請求するよう求めた住民監査請求で、市の監査委員は7日までに、「利用計画が平面図1枚しかない」などの疑問点を指摘したものの、請求を棄却した。

 この外郭団体は、百億円単位の塩漬け土地を抱えて解散した旧市土地開発公社。監査請求は記者が行った。市の財政課が元議長の土地の買収を起案した日付は95年1月17日。阪神淡路大震災が起きた日で、隣府県の救援や市内の設備点検などで市役所が騒然とする最中、不要不急の土地買収の手続きが行われていたのは釈然としないと、記者は監査請求で認められた意見陳述の機会に述べた。

 震災の日のことは、職員の誰もがきのうのことのように話すのに、4億5500万円もの突然の買い物に対し、当時の担当課の幹部や特別職らは一様に口をつぐみ、「何も覚えていない」と話す。不自然だ。

 監査結果では、「買収の金額が土地の抵当権の債権額に近い」などと疑問点を指摘したが、すでに市の外部委員会(土地開発公社経営検討委員会)が独自に調査したことを言ったにすぎない。本来、独立した行政委員会であるはずの監査委員が、独自の調査をどこまでしたのか疑問が残る。

 また、「事業計画の変更について書類に不整合な点があった」とも指摘したが、これも「奈良の声」の既報をなぞったにすぎない。市は表向きの買収理由として、市営住宅の駐車場整備を掲げていたが、実施に至らなかった。

 浅川氏は問題の土地を90年に第三者から取得し、市は95年に買収に動く。その3カ月前、市内の自治連合会長を名乗る人物が事態を問題視し、奈良市役所にある市政記者室に告発文を送ってきた。そこには「助役の辰野(故人)が浅川に買収を持ちかけた」というくだりがある。

 記者はこれを証拠の一つとして監査委員に提出したが、「財務手続きに違法はない」として請求を棄却した。

 市の関係者は「20年も昔の遠い出来事だ」と話す。だが、問題土地を含む175億円の借金返済は始まったばかり。貸し手の銀行には利益だが、これから20年掛けて返済し、悪化した財政を痛めつける。負担する若い世代の市民は、ほとんど何も知らない。新しい話だ。【続報へ】

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