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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一
浅野善一

奈良県)奈良公園バスターミナル開業後のGW 危険増すも車道の通行者1時間に53人 歩道撤去に誤りなかったか

歩道が撤去された奈良市道の車道を通行した人の数
(「奈良の声」調べ)
時間帯 バスターミナル開業後 開業前
2019年 16年 15年
5月4日(GW) 11月6日(正倉院展期間中の日曜) 10月23日(正倉院展期間中の日曜) 9月20日(5日間の長期連休中) 5月3日(GW)
通行者 通行者に接近したバス
午前9-10 41人
10-11

44人

76人 39人 100人 31人
11-正午 74人 85人 30人 105人 49人
正午-午後1 38人 1台 92人 41人 129人 65人
1-2 58人 3台 58人 17人 118人 99人
2-3 60人 1台 62人 34人 96人 82人
3-4 53人 3台 83人 49人 82人 69人
4-5 57人 1台
合計 425人
(327人)
9台 456人 210人 630人 395人
1時間当たり 約53人
(約54人)
約1台 76人 35人 105人 約65人

・今回5月4日の調査ではこれまでより、調査の開始を1時間早め、終了を1時間遅くした。これまでと同時間帯の調査結果は()内に示した。
・各回、トイレ利用によるごく短時間の調査の中断あり。今回5月4日の調査では、午前10時台に3分間と午後1時台に4分間、調査を中断した。

歩道が撤去された奈良市道で信号待ちのため停止した観光バスとその脇の路肩を歩く通行者。この路肩の部分に歩道があった。右手前は、歩道に代わる県文化会館広場通路への誘導看板=2019年5月4日、奈良市登大路町

歩道が撤去された奈良市道で信号待ちのため停止した観光バスとその脇の路肩を歩く通行者。この路肩の部分に歩道があった。右手前は、歩道に代わる県文化会館広場通路への誘導看板=2019年5月4日、奈良市登大路町

信号待ちで停止した観光バスの脇を歩く通行者=2019年5月4日、奈良市登大路町

信号待ちで停止した観光バスの脇を歩く通行者=2019年5月4日、奈良市登大路町

路肩を歩く人(右)とすれ違った観光バス=2019年5月4日、奈良市登大路町

路肩を歩く通行者(右)とすれ違った観光バス=2019年5月4日、奈良市登大路町

路肩を歩く通行者をよけるように走行する観光バス=2019年5月4日、奈良市登大路町

路肩を歩く通行者をよけるように走行する観光バス=2019年5月4日、奈良市登大路町

路肩の白線を車道側に越えて歩く通行者とその後方から迫る観光バス=2019年5月4日、奈良市登大路町

路肩の白線を車道側に越えて歩く通行者とその後方から迫る観光バス=2019年5月4日、奈良市登大路町

信号待ちで停止した観光バスの脇を歩く通行者=2019年5月4日、奈良市登大路町

信号待ちで停止した観光バスの脇を歩く通行者=2019年5月4日、奈良市登大路町

 奈良県が奈良市の県庁隣に建設した奈良公園バスターミナルの営業が始まった。県はバスターミナル建設に合わせ、観光バスの通り道となる県庁横の奈良市道の車道を広げるため、市道から歩道を撤去。通行者が車道の端を歩くという事態を招いた。「奈良の声」は、バスターミナルの営業開始後、最初の大型連休となったゴールデンウイーク中の5月4日土曜日、車道を歩く通行者の数を調べた。1時間当たりの平均は延べ53人。2015年の歩道撤去間もないころと比べ、依然少なくない。県はこれまで、注意看板の設置など対策を講じてきたが、その結果である。大きな車体のバスの通行が始まり、危険は増している。歩道撤去の判断に誤りはなかったか。

 歩道が撤去されたのは2015年3月。歩道は、南北に伸びる同市道に約100メートルにわたってあった。市道の南には奈良公園や興福寺、北には県文化会館や県立美術館、自家用車の観光客が利用する駐車場、住宅地があって、住民や観光客が行き来する。

 県は歩道撤去に当たって、通行者については市道西側に面する県文化会館広場の通路へ迂回(うかい)させることにした。同通路への誘導看板も複数箇所に立てた。また、通行者が車道に流れないよう、市道南端の国道369号との交差点の横断歩道をスクランブル化した。

 バスターミナルは4月13日に開業。交通渋滞の原因とされる公園中心部への観光バスの流入抑制を目的に、公園の玄関口となる同所に設けられた。観光バスの乗降場や駐機場、待合室があり、バスは客を降ろすと、客が観光を終えるまでの間、隣の大和郡山市にある駐機場で待機する。観光バスが利用できる時間は、午前7時半から午後6時半まで。

 調査は、午前9時から午後5時まで8時間、実施した。1時間当たりの通行者数は最低が正午から午後1時までの延べ38人、最高が午後2時から3時までの延べ60人。8時間の合計は延べ425人だった。

 通行者の中には、乳母車を押す人や小さな子どもを連れた人、お年寄りもいた。集団で歩く人たちの中には、狭い路肩の白線を車道側に越えて歩く人たちもいた。県文化会館広場通路の起伏を避けるためか、車いすを押す人を見ることもある。

 この日、夫婦とみられる2人連れのうちの年配の男性は、「この先歩道なし」と書いた表示を見て、「歩道がないの」と疑問を持つように2度繰り返し、県文化会館広場通路の方に歩いていった。

バスと通行者が接近

 バスと通行者が接近する場面は、バスの数にして延べ9台について確認した。車道の端を歩く通行者とすれ違うバス、通行者を後ろから追い抜いていくバス、信号待ちで停止したバスの脇の狭い空間を歩く通行者を見た。この日のバスの通行は少なめだった。県奈良公園室によると、休日は自家用車の観光客が多く、団体旅行の観光バスは平日の方が多いという。

 「奈良の声」は同様の調査をこれまでに4度、実施した。各調査での1時間当たりの延べ通行者数は2015年5月3日(ゴールデンウイーク中)が65人、同9月20日(長期連休期間中)が105人、16年10月23日(正倉院展期間中)が35人、同11月6日(同)が76人だった。

 同市道は、道路を新設、改築するときの技術的基準を定めた国の道路構造令やこれに基づく奈良市条例に照らせば、逆に歩道の設置を求められる道路に相当する。

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