川西町唐院の国史跡・島の山古墳で、墳丘の半分を覆っている竹林の根が埋蔵遺物の埴輪を割る被害が出ていることから、町教育委員会は竹林を伐採することを決めた。日本的な風情もある竹林だが根を張る力が強く、地中の埴輪にとっては大敵だ。
同古墳は全長190メートルの前方後円墳。町教委によると、竹林は後円部がある墳丘の北半分を覆っている。同教委は2002年の古墳の国史跡指定を受けて、2003年から5年間、墳丘を調査。この際、埴輪の一部を発掘したが、竹林下の地中の埴輪はすべて竹の根が絡んで割れていた。南側、前方部の雑木林ではそうした被害はなかった。
同古墳は4世紀末から5世紀初めの築造でこの時期の前方後円古墳としては最大規模。墳丘は3段のひな壇になっていて、築造当時はそこに約2000個の埴輪が配列されていたと考えられるという。
植物の専門家によると、竹は伸ばした根の先から新しい竹を生みながら広がっていく。生命力、成長力があり、根を張る力が強い。根が硬いアスファルトを突き破ることもある。
町教委は平成27、28年ごろから5年計画の予定で古墳を史跡公園として整備。竹林の伐採はこの整備の中で行う。伐採に当たっては文化財保護法に基づき、国から現状変更の認可を得る。伐採後はほかの樹木の植栽を検討しているという。