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拠点・奈良県大和郡山市 運営者・浅野善一

住民反対した共同住宅完成

奈良町の町家跡地

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2011年7月2日
↑町家跡地に完成した共同住宅=奈良市西新屋町 ↑取り壊された町家(松永洋介さん提供)

 奈良市西新屋町の町家跡地に、住民が反対していた共同住宅が完成した。市なら・まほろば景観まちづくり条例に基づく市の指導・助言に従い、正面には奈良町の景観に合わせた門と塀を設けた。一方、建物横にあった建設反対のポスターは撤去され、反対運動も収束した。住民側には「出来てしまったものはしょうがない。しかし、反対の意思に変わりはない」という声も。
 西新屋町周辺は伝統的な町並みが残る奈良町の中でも中心的区域で、観光客も多い。同所には以前、町家があったが、住人が手放したことから、近くの仏具店経営者が共同住宅建設を計画。住民の反対運動が起きた。
 完成した共同住宅は木造2階建て12室で、敷地の広さは約635平方メートル。居室とは別に、道路に面した正面部分は店舗で、建築主が仏具店を開く。建物全体の外観は和風だが、市が奈良町都市景観形成地区を対象に補助金を出して推奨している「切り妻造り平入り」の町家の形態ではない。ただ、道路に面した部分は、市の補助金を利用して、町並みの連続性を保つ門と塀を設けた。
 住民は、景観だけでなく住環境が影響を受けるとして、共同住宅の建設そのものに反対していた。こうした住民の要望で、建物は3階建てから2階建てに変更され、居室数も減った。建築主の仏具店経営者は「個人の利益、権利を無視する形で反対を受けてきたが、公の許可を得て完成させた。反対理由だった入居者のごみの処理やあいさつもできている。今では住民も好意的で反応も変わった」としている。
 一方、反対をしてきた住民男性は「運動によって建物の規模が縮小されたことは良かった。しかし、建築主は、私たちが求めている地元自治会への入会に応じていない」と不満を隠さない。また、別の住民男性は「近所では、さらに空き地や空き家が増えている。このままでは奈良町は終わってしまう」と危機感を募らせている。(浅野善一)
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