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三条通りのあり方探る マンション進出で危機感商店街関係者ら 勉強会や地区計画づくり 市民にも呼び掛け
奈良市の三条通りで初めてとなるマンションの計画に対し、地元の商店街関係者らが通りの将来に危機感を抱き、通りにふさわしい景観やマンションのあり方、それを誘導するための地区計画づくりの道を探り始めた。三条通りは、奈良市を代表する目抜き通りであることから、市民にも勉強会への参加を呼び掛けている。
計画は、同市角振新屋町の映画館「シネマデプト友楽」跡地と、同市下三条町の奈良銀行本店跡地の2カ所にあり、分譲マンションが建設されようとしている。開発業者は友楽跡が京阪電鉄不動産(大阪市)、奈良銀行跡が大和ハウス工業(同)。いずれも地元商店街の要望で、通りに面した1階部分に、小規模な店舗がかろうじて1戸が設けられることになった。しかし、この程度の店舗では、通りが寂しいものになってしまうと、商店街関係者らは不満だ。友楽跡のマンションでいえば、通りに面した30メートルのうち、店舗はわずか5.5メートルにすぎないという。 三条通りにはこのほかにも、未利用、低利用の土地が複数カ所あるという。 活動の中心になっているのは、近鉄奈良駅周辺の8商店街でつくる市中心市街地活性化研究会(松森重博会長)。同研究会は、友楽跡のマンション計画に対する要望書を、仲川元庸市長あてに今月14日付で提出した。要望書は、通りに面した部分について、大部分が開放的な小売店舗となるよう、市が業者に指導することなどを求めている。 同計画に対する市への要望書提出は、このほかに椿井地区など周辺の4自治連合会や、市中心市街地活性化協議会、三条通りまちづくり協議会も行った。 同研究会はさらに今月18日、市内で、勉強会「三条通りの価値を高める会」を初めて開いた。商店街関係者や市民の知恵を結集して、三条通りにふさわしい建築物や景観のあり方、その実現の方策を考えていこうというもので、約30人が集まった。松森会長は冒頭、「大きな転機。友楽跡のマンションをいいものにしないと、今後、三条通りはどうなるか分からない」と訴えた。 このあと、大阪市のインテリアデザイナー宮後浩さんが、明らかにされている同マンションの図面をもとに、独自に考えた三条通りにふさわしいデザインを披露した。店舗の前面をガラスにしたり、カフェテラスを設けたりして華やかにしたもので、「計画のままだと、壁やベランダがべたっとした感じで味気ない。建物に表情を付け、ランドマークとなるようすべき。建物はちょっとした工夫でいくらでも変わる」と説明した。 意見交換では、「市民みんなの商店街。マンション計画の動きなどもっと情報発信してほしい」といった市民の声や、「このままではマンションだらけになってしまう。対応できる組織づくりや行政との連携をもっと図れるようにする必要がある」「弁護士や建築家などの専門家の参加が必要」といった商店街関係者の声が上がった。 同研究会は、こうした勉強会の開催と同時に、都市計画法に基づいて一定の街並みを保全できる、地区計画の策定にも取り組もうとしている。三条通りには1997年につくられた地区計画があるが不十分で、これを改訂しようという。 現地区計画は、JR奈良駅前から猿沢池の手前までの約1キロが対照で、商業市街地の形成を目的に現在、進められている道路拡幅事業に伴って、沿道の店舗などを後退させるのが主な眼目。このため、建物の意匠については、通りに面する1階部分の壁面はショーウインドーや透視可能なシャッター構造など、にぎわいを高める構造に努める、という抽象的表現にどまり、規模などの具体的な規定はない。 同研究会によると、友楽跡のマンション計画では、業者側は建築確認の手続きを早急に進めたいとの考えを示しているといい、今月25午後6時30分から、奈良市橋本町の奈良マーチャントシードセンターで、地元への説明会が開かれる予定。会場の許す範囲で市民の傍聴も可能という。 新堂順規・同研究会専務理事は「三条通りは奈良のシンボルロード。興福寺、春日大社への道だと感じてもらえるようにしたい」と話している。(浅野善一) |
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