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地域資源、誇りにまちづくりを県立奈良病院移転問題 住民が専門家招きシンポ
「県立奈良病院の移転・建て替え問題を考える会」(大西喜八・福山正治代表)は18日、奈良市平松1丁目の京西公民館平松分館で、まちづくりなどの専門家3人をパネリストに招き、シンポジウム「“くらし・命・まちづくり”ご一緒に考えてみませんか」を開催。病院周辺の住民ら50人が参加した。
県立奈良病院は、同市平松1丁目の現在地から2キロ南の同市七条西町2丁目の六条山に移転する計画で、2016年度の開業が予定されている。「考える会」は、移転は周辺に大きな影響を与えるとして、跡地・移転先を取り巻く西ノ京周辺のまちづくりを自分たちで考えようと、こうした会合を重ねている。 パネリストの奈良女子大学名誉教授・上野邦一さんは、景観やまちづくりの視点から発言。たくさんある地域の資源をよりどころ、誇りにしたまちづくりをしてほしいと述べた。また、どこへ行くか分からない曲がりくねった細い道やごちゃっとしたところも資源の一つとし、生活もそれに合わせるべきで、軽自動車のタクシーの模索も必要などと提案した。 元建設省出張所長の小井修一さんは、道路環境の面から問題点を指摘。西ノ周辺には広い幹線道路が全くないとし、バスなどの公共交通機関の導入や防火などの防災面から整備が必要と述べ、行政に強く求めていくべきと助言した。 なら福祉介護ネット所長の辰浦泰郎さんは高齢者福祉の視点から、絆やコミュニティーの重要性を指摘。介護保険制度や施設があっても漏れることがたくさんあるとして、駅前広場に散歩で集まる高齢者が自然に互いの安否を確認し合うようになった例を紹介、高齢者が地域で住み続けられる仕組みづくりが求められるとした。 参加者からは、「現在の病院が移転したら遠くてもう行けない」「高度医療は新病院に移るが、じっくり治療できる外来は跡地に残してほしい」といった声のほか、新病院への道路環境が整っていないことへの不満や不安の声が相次いだ。(浅野善一) |
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