大屋根「市民の理解得て」 市が県に意見
景観審議会の答申結果通知で
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屋根の骨組み部分の色をホワイトグレーにした大屋根の完成予想図(奈良市提供) |
奈良市は9日、近鉄奈良駅前行基広場に県が計画している大屋根に対する、市景観審議会(川崎清会長)の答申結果を、県に通知した。市は、色の変更などを求める答申結果に加え、市民の理解を得るよう十分検討してほしいとの意見を付けた。審議会で大屋根の必要性を問う意見があったことなどを踏まえたもの。市が答申結果の通知に市の意見を付ける例はあまりないという。
大屋根の審議はことし1月25日、まず同審議会の全体会議で行われた。しかし、必要性を問う意見が出るなどしてまとまらず、再度、4月11日に専門部会の風致デザイン部会で審議された。この結果、県の計画案に対し、「屋根の骨組みの色は周囲と調和し明るい色彩となるようホワイトグレーに」「屋根の高さについては周辺の建築物や屋根の柱の太さと調和を」とする意見をまとめた。また付帯意見で、屋根設置の必要性や広場機能の有効性などについて県民の思いをさらに把握し、さまざまな問題点を解決するようにも求め、仲川元庸市長に答申した。
市が県への通知に加えた意見は、屋根設置について「当市への問い合わせが多いことや景観審議会答申の付帯意見を踏まえ、市民の理解を得るよう充分検討して」と求めており、裏を返せば、いまだ市民の理解は不十分との指摘になった。
県道路・交通環境課の岡部共成課長補佐は「県も審議会に出席させてもらって意見は聞いている。通知はもらったばかりで、どういう思いで書かれたものなのか分からないので、すぐにコメントはできない」とした。
市景観市議会の審議の対象となるのは通常、法律や市条令で定められた基準を超える施設や大規模な施設の建設など。大屋根はこうした基準内には収まっている。県も自ら実施したパブリックコメントやアンケートの結果を根拠に、県民の理解は得られたとしてきた。しかし、市は大屋根の賛否が大きな問題になっているとみて審議の対象とした。
大屋根は、県の計画では広さ約560平方メートルの行基広場のほぼ全体を、高さ11メートルの鉄骨造りのガラス屋根で覆う。柱の表面は木材で化粧を施す。事業費は1億7600万円で、今年度着工の予定。県は、雨を防ぐことで、待合い空間としての機能を高め、奈良の玄関口にふさわしい広場にすると説明している。
これに対し、計画に反対する県民は、地下の近鉄奈良駅から出た所にある行基広場に青空を遮る屋根は不要などとしている。(浅野善一)
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