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元本割れ20億超、退手基金の仕組債売却奈良県市町村総合事務組合 2011年度決算受け確定額判明奈良県内市町村職員などの退職手当支給事務を行っている県市町村総合事務組合(管理者、小城利重・斑鳩町長)が、退職手当基金の運用目的で購入した仕組債を2010、11年度に売却し、多額の元本割れが発生していた問題で、その確定額が20億2900万円になることが10日、同組合への取材で分かった。 これまで、両年度のうち2011年度分は売却前の見込み額しか判明していなかった。組合が決算前を理由に確定額を明らかにしていなかった。組合は、10日の組合定例議会で11年度歳入歳出決算が認定されたことを受け、初めて同年度の元本割れの確定額を明らかにした。2010、11年度を合わせた元本割れの確定額は、「奈良の声」がこの見込み額を基に6月15日付で報じた19億6700万円より増えた。
「奈良の声」はこれまでに、同組合構成市町村への開示請求で入手した組合文書から、組合が退職手当基金のうち68億100万円を仕組債16銘柄に投入していたことを確認した。このうち、2011年11月4日付文書「奈良県市町村総合事務組合の退職手当に係る負担金率引き上げについて」では、10年度の売却による元本割れは10億7900万円、また11年度の元本割れは文書作成時点が売却前だったため見込み額として8億8800万円となり、両年度を合わせた元本割れの総額は19億6700万円の見通しだったことが判明した。 これを基に6月4日、組合に取材したところ、基金取り崩しのため2010年度と11年度で15銘柄63億円分を現金化したことを明らかにした。うち2銘柄は金融機関側が満期前に運用を中止する早期償還で元本が戻ってきたが、売却となった13銘柄は元本割れしたとした。10年度は7銘柄28億円を現金化。6銘柄が売却、1銘柄が早期償還だった。11年度は8銘柄35億円を現金化。7銘柄が売却、1銘柄が早期償還だった。しかし、2011年度の元本割れの確定額については、決算前を理由に明らかにしなかった。 組合が今回、明らかにした同年度の元本割れの確定額は9億5000万円。これで10、11年度を合わせた元本割れの確定総額は20億2900万円となった。仕組債の利息は、購入を始めた2001年度末から現在までで計7億8541万円。これを加味しても、元本63億円を12億4300万円割り込むことになった。 基金を取り崩したのは、2010、11のいずれの年度も市町村の負担金だけでは退職手当の支給額を賄いきれなかったためで、満期保有目的だった有価証券を売却せざるを得なくなった。 仕組債は高い金利が期待できる一方、為替などの相場に左右される上、市場性が低く、満期前に売却すると大きく元本を割り込む恐れがある。 |
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