奈良県:奈良の市民団体が観光地で緑の名所づくり 大安寺境内に第1号の植栽
奈良市の観光地に市民の手で緑の彩りを―、と植栽事業に取り組む市民団体「なら・みどりの名所づくり実行委員会」(福田惇之会長、75人)が同市大安寺2丁目の大安寺境内で、事業の第1号となる植栽を行った。
同会は昨年4月、「なら・みどりの名所づくりプロジェクト」が奈良市との協働事業として認められ、発足した。江戸時代末期、奈良奉行の川路聖謨が住民らの寄付などで、東大寺や興福寺を中心に、南は白毫寺、西は佐保川まで、サクラやカエデを植栽したことに倣って、緑で市内の観光地の魅力を高めようという。
事業費は寄付や公的な助成金で賄っている。市は、事業の広報や植栽場所の選定の仲立ちなどで協力している。「みどりの名所」候補地は春秋の年2回、市民から募集している。寄付者は植栽後の管理にも参加する。
植栽第1号となった大安寺は、南都七大寺の一つでありながら、市中心部の観光地からは外れた所にあることから、より知ってもらいたいという狙いで選ばれた。県「記紀・万葉」県民活動支援補助金の対象事業に採択された。
植栽が行われたのは寺の西側にある駐車場。道路に面した所に約45メートルにわたってイロハモミジ6本とドウダンツツジ40本を植えた。溝を掘って植栽用の軟らかい土を入れ、一本一本丁寧に植えていった。福田会長ら会員3人がシャベルなどを手に作業に汗を流した。
河野良文住職は「来てくださる方に緑の景観を楽しんでもらえる。自然の中の寺の存在は望ましい。境内が仏様の体そのもの。その体を緑できれいにしていただくのはありがたい」と歓迎していた。
次の植栽予定地は同市鳴川町の徳融寺で、庭園にマツを植える。
福田会長は「みどりの名所をつくることで奈良の観光にアクセントを付けたい」と話していた。
同会への問い合わせは福田会長、0742(51)7520。