奈良県)奈良・JR京終駅、60年前の索道しのび「せんべい飛ばし大会」
↑奈良安全策道をしのんで開かれた「せんべい飛ばし大会」でせんべいを投げる参加者(右)=2014年10月5日、奈良市南京終町のJR京終駅前広場
↑京終玉手箱の安西俊樹さんが制作した奈良安全策道の鉄塔の100分の1模型
奈良市南京終町のJR京終駅前広場で5日、かつて同駅にあった物資輸送用ロープウエー「奈良安全索道」をしのぶ「せんべい飛ばし大会」があった。地域の歴史を掘り起こし、町のにぎわいにつなげようと、地元の町おこし団体「京終玉手箱」などが開いた。
奈良安全索道は同駅と東部山間の同市小倉町の間約17キロを結び、1918年から52年まで運行された。山間部で作られた凍り豆腐などを運ぶのに使われたという。
せんべい飛ばしには、市内の若草山で開かれる恒例行事「鹿せんべい飛ばし大会」で使われる特大のせんべいが、同駅近くの三笠屋でのみ製造されていることから、こうした地域資源を掘り起こす狙いもある。奈良安全策道の鉄塔の小型版を復元して、その前からせんべいを飛ばすことにした。
第1回となったこの日は、台風接近のため鉄塔の復元については断念した。大会には子どもから大人まで地域の人を中心に約30人が参加した。通常の大きさほどの鹿せんべい(直径8センチ余り)を飛ばす種目で、19.7メートルを投げて優勝した県立大学1年新谷恵利さん(19)は「真っすぐ飛ばすのが難しかった」と話した。大会に使ったせんべいは三笠屋が無償で提供してくれたという。
京終玉手箱の安西俊樹さん(64)によると、駅の近くには「索道で到着した荷物を運ぶトロッコに乗って遊んだ」と懐かしそうに話す年配の人もいるという。11月16日に同広場で開く恒例の古本市で、鉄塔を復元して大会を開く予定。