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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一
浅野善一

奈良・平城宮跡の1300年祭仮設駐車場、県が9月末までに撤去 現状変更許可の延長終了 世界遺産委への報告に従い

撤去される平城宮跡内の県仮設駐車場。工事用の柵の向こうではすでにアスファルトがはがされ、白っぽい地面が現れている。奥は大極殿=2016年4月25日、奈良市佐紀町

撤去される平城宮跡内の県仮設駐車場。工事用の柵の向こうではすでにアスファルトがはがされ、白っぽい地面が現れている。奥は大極殿=2016年4月25日、奈良市佐紀町

 奈良市佐紀町の特別史跡平城宮跡内に、奈良県が2010年の平城遷都1300年祭に合わせて設けた仮設駐車場が、ことし9月末までに撤去されることが、県への取材で分かった。駐車場は、文化財保護法に基づく現状変更の許可を受けて設置された。宮跡は、世界遺産「古都奈良の文化財」の構成資産の一つで、世界遺産委員会からは撤去の時期について報告を求められていた。

 駐車場は、復元された朱雀門の北西に近接。大宮通り(県道)に出入り口があり、朱雀門の脇を通って入場する。広さは約2万7000平方メートル、アスファルト舗装が施され、乗用車285台、観光バス40台を収容できる。便所と休憩所もある。宮跡を会場に開かれた1300年祭の来場者用駐車場として開設された。元は原っぱで施設は何もなかった。

 文化財保護法は、史跡名勝天然記念物の現状変更を制限している。県平城宮跡事業推進室によると、県は当初、1300年祭開催中を設置期間として文化庁の許可を受けた。しかし、1300年祭閉幕後に突然なくなるのは来訪者に不便として、許可期間をことし3月まで延長していた。

 撤去工事の日程の都合で、期間はさらに9月30日まで延長された。駐車場は現在もまだ利用できるが、7月には工事に着手する。一部北側ではすでにアスファルトをはがす作業が始まっている。一方、便所と休憩所の部分は延長期間を来年9月30日までとした。

 県は、史跡外となる朱雀門南側に平城宮跡歴史公園の観光拠点施設を建設する計画で、敷地内に観光バス約20台、乗用車約50台の駐車場を備えた交通ターミナルを設ける。ただ、施設の開業は来年度以降。このため、バスについては、大宮通りに面している現駐車場出入り口進入路の部分1380平方メートルを暫定的に仮設駐車場として整備する。11~12台の収容が可能という。

 同所は、朱雀門前の史跡平城京朱雀大路跡の一角となるため、7月から来年9月30日までを設置期間として、文化庁から現状変更の許可を受けた。乗用車の駐車場は確保できなかった。宮跡北側にある奈良文化財研究所の平城宮跡資料館駐車場や遺構展示館駐車場を利用してもらう。

 県平城宮跡事業推進室は、観光拠点施設完成前に駐車場撤去を実施することについて、「世界遺産委員会に報告した撤去の計画に従った」とした。

 1300年祭では、仮設駐車場のほか、第一次大極殿院の修景柵も設置した。大極殿を囲んでいた築地回廊の位置に高さ2.15メートルの柵を巡らせている。同室は世界遺産委員会に対し、国土交通省が進める築地回廊の復元の進捗(しんちょく)に応じて順次撤去すると報告しているという。 関連記事へ

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