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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一
浅野善一

奈良県)奈良市観光のバリアフリー、車椅子で検証 知事選前に県の課題考える

奈良市のJR奈良駅でエレベーターを実際に利用して点検する車椅子の参加者ら=2019年2月26日、同市三条本町

奈良市のJR奈良駅でエレベーターを実際に利用して点検する車椅子の参加者ら=2019年2月26日、同市三条本町

 3月21日告示の奈良県知事選挙を前に県の課題を考えようと、奈良市民らが2月26日、「車椅子で奈良観光」を掲げて、同市のJR奈良駅から春日大社入り口の一之鳥居まで、目抜き通りの三条通約1.5キロを、車椅子の視点で検証した。

 同市のならまち通信社(松永洋介代表)が主催、市在住の作家寮美千子さんらの呼びかけで、約15人が参加した。車椅子の人が3人いたほか、体験で車椅子に乗って参加した人もいた。

 現職に対抗して知事選出馬を予定している立候補予定者2人をそれぞれ招いて考えを聞く催しを、ならまち通信社主催で開催している。こうした立候補予定者と市民との対話の中で「奈良を国際観光都市にするためにまず必要なのは、ホテル建設ではなくて、完全バリアフリーではないか」という声が上がり、この日の行事につながったという。

 一行は、JR奈良駅でエレベーターを利用して階上の改札口までの経路を点検するなどした後、目的地に向かった。途中、車椅子の参加者が、沿道の民間展示施設の入り口に車椅子の人のためのインターホンがあるにもかかわらず、歩道から手が届きにくい位置にあることに気付いた。

 立ち寄った市観光センターでは、併設されている飲食施設の奥にある観光案内カウンターに向かうのに、客のテーブルの間隔が狭く、客が座っていたら椅子を引いてもらわないと通れない状態だった。通過したいくつかの交差点の中には、車椅子で横断するには青信号の時間に余裕のないものがあった。

 興福寺境内への入り口では、石柱が何本も立てられていて、その間隔は車椅子では通れないものだった。参加者はどこから入ればよいのかと口々に話した。一之鳥居前の交差点では、歩道と車道の段差が大きく、歩道から車道への傾斜が急で、車椅子を押す役の人が苦労していた。

 参加者の一人、NPO法人自立生活支援センターフリーダム21代表の田中雅人さん(39)は自身も車椅子利用者。同センターでは、2017年に奈良ユニバーサル観光マップを発行し、車椅子の観光モデルコースを提案した。田中代表は「寺などは車椅子を想定していないが、指摘すれば改善してくれる所もある」と話していた。

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