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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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浅野善一

ごみ収集した缶・瓶の売却益、入金されず 業務委託料と「相殺」 大和郡山市、明朗さ欠く慣行

大和郡山市が市民に配布する不燃物ごみ専用の袋にまとめられた空き缶

大和郡山市が市民に配布する不燃物ごみ専用の袋にまとめられた空き缶

 奈良県大和郡山市の毎年の家庭ごみの収集業務委託で、委託業者が収集した缶・瓶の売却益が、市に入金されていないことが分かった。市が収集した家庭ごみの資源物の所有権は市に帰属する。市は売却益について、業者に支払う業務委託料と相殺していると説明する。

 しかし、市と委託業者が契約時に交わしている書類に、売却益の相殺に関わるものはなく、書面上では相殺の事実も相殺の中身も確認できない。業者から年度末に缶・瓶の売り上げ報告はあるが、委託料との関係は不明。明朗さを欠く。委託業者は毎年同じで、このやり方は長年にわたる慣行となっている。

来年度から入金へ

 市は23日までの「奈良の声」の取材に対し、「来年度から売却益は市に入れてもらう」と述べ、慣行の廃止を決めたことを明らかにした。

 この問題は、最近の市議会で繰り返し取り上げられていた。「奈良の声」は、市情報公開制度に基づいて開示を受けた文書や市が公表している資料を基に取材した。

 市は市廃棄物処理規則で資源物となるごみを定め、市廃棄物処理条例で所有権が市に帰属することを定めている。缶・瓶は資源物に指定されている。

 市清掃センターによると、市の家庭ごみの収集業務のうち、不燃ごみ、粗大ごみの収集と、一部地域の可燃ごみの収集を外部に委託している。缶・瓶は不燃ごみに含まれる。委託先は大和郡山市環境事業協同組合(野村安忠理事長)の1社。発注は随意契約。同組合への委託は1981年度から続いている。近年の委託料は毎年1億5000万円余り。

 委託料の前提となる、組合提出の毎年の見積書に提示されているのは、可燃ごみ、不燃ごみ、粗大ごみそれぞれの収集業務の請負金額、収集した缶・瓶の選別、缶の圧縮などのリサイクル作業の請負金額などとこれらの合計額。缶・瓶の売却益を差し引いていることを示す記載はない。市と組合が交わす業務委託契約書にも、缶・瓶の売却益を委託料と相殺することを定めた条文はない。

 一方、組合が2020年3月31日付で市に提出した2019年度リサイクル作業報告書によると、同年度1年間の缶・瓶の売却による売り上げは約980万円だった。

 缶・瓶の売却益を委託料と相殺する慣行が始まった時期は、市清掃センターによると「文書で確認できるのは2010年度以降だが、恐らく組合への委託を開始した当初からではないか」という。

 市ホームページで公開されている市議会の議事録によると、市が市議会で、売却益が入金されていないことを明らかにしたのは2018年6月19日。同日の産業厚生委員会で、尾口五三委員(共産)の質問に対し、「リサイクルにより売却した費用は市に入っていない」「売却益を含んで業者委託の契約をしている」と答弁した。

 ことし3月12日の予算特別委員会では、上田健二委員(共産)が「相殺しているということで結局、丼勘定になっている。市民がこれを見て本当にちゃんと納得するかどうか」と批判した。

 取材に対し、西澤康弘・市清掃センター長は、来年度も市のごみ収集業務に精通しているという同組合と随意契約の方向とし、組合には売却益を入金してもらうことを伝えているとした。

 「奈良の声」は8月17日、野村理事長にも、組合事務所を通じて取材を申し入れたが、これまでのところ応答はない。

組合「コメントする立場にない」

 同組合から「奈良の声」に対し、8月27日、文書で回答があった。文書は野村理事長名で、売却益の扱いの変更について「業務委託の仕様については、当組合はコメントする立場にありません」としている。(組合のコメントは8月29日に追加) 関連記事へ

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