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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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浅野善一

県営馬見丘陵公園 野鳥に配慮を 茂み残して 維持管理で愛好団体が要望

下草や低木がすっかり刈られた馬見丘陵公園の丘=2020年2月(竹下栄さん提供)

下草や低木がすっかり刈られた馬見丘陵公園の丘=2020年2月(竹下栄さん提供)

茂みが戻った馬見丘陵公園の丘を指さす竹下さん。上の写真と同じ場所で=2020年10月30日

茂みが戻った馬見丘陵公園の丘を指さす竹下さん。上の写真と同じ場所で=2020年10月30日

県が整備を進めるチューリップの花壇が広がる馬見丘陵公園=2021年4月1日

県が整備を進めるチューリップの花壇が広がる馬見丘陵公園=2021年4月1日

 奈良県営馬見丘陵公園(河合町、広陵町)の維持管理や整備の在り方を巡って、地元の野鳥愛好団体が、野鳥のために林を埋める下草や低木などの茂みを残してほしいと、公園を管理する県中和公園事務所に要望したところ、刈る時期や場所、程度が考慮されるようになった。

 同公園は広さ56.2ヘクタール。1991年4月に開園した。馬見古墳群の範囲と重なっていて、公園内、周辺に多数の古墳がある。近隣で進む大規模な宅地開発から自然や古墳群を保全することを狙いとして設置された。木立が広がる緑地の中に大小4つのため池があるほか、花壇や広場が設けられている。年間約100万人の来場がある。

 「野鳥にやさしい馬見丘陵公園をめざす会」(竹下栄代表)は昨年6月、同事務所に対し、野鳥に配慮した公園の維持管理、整備を求める要望書を、614人の署名を集めて提出した。

 「めざす会」によると、同公園は森、草地、ため池の水辺など多様な自然環境がそろっていて、探鳥会で観察できる野鳥の種類が県内の公園では最も多いという。公園で1年間に見られる野鳥は約110種類に上る。

 県は馬見丘陵公園について、県政の目標を定めた「奈良新『都』づくり戦略2021」で「誇らしい花の公園」を目指すと宣言している。

 具体的には、2014年策定の県植栽計画「なら四季彩の庭づくり」で掲げた「四季を通じてカメラを向けたくなる名所づくり」との考え方の下、「芝生広場などにチューリップ、コスモスなどを群植し、花のパノラマ景観づくりを図る」を方針として整備が進む。今年度は、チューリップを現在の50万株から60万株に増やすなどする。

 「めざす会」が要望書を提出することになったきっかけは、公園事務所が昨年1月に行ったため池の岸の竹林の伐採。竹下代表が、池のカモが「激減」したことから伐採に気付き、公園事務所に対し「水鳥の休息場所がなくなる」と抗議、中止を申し入れた。また、別の丘で林の下草や低木が刈られていることにも気付いた。

 下草や低木が刈られてすかすかになると、下層の止まり木が減るほか、林の中が乾燥して野鳥の餌となる昆虫やミミズなどの発生が少なくなる。さらに、外敵からも見つかりやすくなって、野鳥は安心して暮らせなくなるという。

 抗議に対し、公園事務所からは、下草刈りや低木伐採について例年通りの業務委託であり、特に今年度指示したものではないとの説明を受けたという。また、花壇についてもわざわざ木を切って増やしていくのではなく、平地につくることになると話したという。

 要望書では、ため池については岸辺に樹木や茂みを残し、人から遮断される環境に▽下草や低木の伐採は、遊歩道沿いの狭い範囲のみとし、奥は残して▽草刈り、樹木伐採、植樹などの維持管理については「めざす会」に相談して決めて―など6項目を要望した。

 公園事務所によると、要望を受けて、現在は、下草や低木は刈る時期や場所、程度を考慮する▽ため池沿いの竹林などの伐採は水鳥が来る冬場を避ける▽丘の奥の下草や低木は野鳥の営巣地や餌場となることを考慮して強く刈りすぎないーなどの対応をしているという。

 この一件を機に、「めざす会」と公園事務所の間で継続的な意見交換の機会が設けられるようになった。また、同公園のホームページに昨年11月、公園で見られる野鳥の情報も追加された。竹下代表が会長を務める「馬見鳥記録の会」が情報を提供している。

 竹下代表は「下草や低木が刈られた昨シーズンに比べ、今シーズンはいろんな野鳥が見られる」と評価。意見交換の場では、野鳥に影響しそうなイベントについて意見も言えるようになったという。

 松並喜代治・県中和公園事務所長は「下草や低木は刈る必要はあるが、ある程度残し、強くは刈らない。時期を考えて刈る。意見交換をすることに意味があることが分かった」と話している。

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