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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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浅野善一

奈良県香芝市議への懲罰繰り返し 処分の仮差し止め申し立て却下 地裁「現時点で委員会の決定なく、要件欠く」

奈良地裁=奈良市登大路町

奈良地裁=奈良市登大路町

出席停止議決なら「裁量権乱用の疑い強い」とも指摘

 奈良県香芝市議会で、国民健康保険料や生活保護の窓口への同行を巡る議長への発言が侮辱に当たるなどとされたことを発端として、青木恒子議員(共産)への懲罰動議が繰り返されている問題で、議会が陳謝または出席停止の処分を行わないよう、青木議員が仮の差し止めを求めた申し立てに対し、奈良地裁は11月30日付で却下した。青木議員の弁護団が12月1日、明らかにした。

 青木議員に対しては今年9月29日、陳謝文の朗読拒否を理由に6度目の懲罰動議が提出された。これに対し11月7日付で同申し立てを行った。この時点では、同動議に対する市議会懲罰特別委員会は開かれておらず、懲罰の可否や処分内容は決まっていなかった。

 しかし、弁護団は、市議会12月定例会またはそれまでの臨時議会に同委員会から処分内容が提案され、陳謝または出席停止の処分が議決される可能性があると予測。時間の上で、地裁の決定が出る前に議会が短期間に懲罰を議決する恐れがあるとみて、申し立てに踏み切っていた。

 寺本佳子裁判長は却下の理由として、陳謝処分については「後の金銭賠償による損害回復が不可能とはいえない」とし、また、出席停止処分については「現時点では懲罰特別委員会の決定はないから、処分がされる蓋然(がいぜん)性があるとはいえない」として、いずれも「償うことのできない損害を避けるための緊急の必要」という仮の差し止めの要件を欠くとした。

 一方で寺本裁判長は「(議会が6度目の懲罰動議に対し)陳謝文の朗読拒否を理由として、陳謝処分より重い出席停止処分を科すとすれば、裁量権の乱用となる疑いが強い」とも指摘した。

 青木議員に対しては、5度目の懲罰動議で9月定例会本会議への出席停止処分の提案が決まっていたが、地裁は青木議員の申し立てに対し、「裁量権の乱用と認められる」として同月1日付で同処分の仮の差し止めを決定。

 これを受け、懲罰特別委員会は出席停止処分より軽い陳謝処分に変更して同月29日、本会議に提案、可決された。しかし、青木議員は陳謝文朗読を拒否。同日、6度目の懲罰動議が提出された。

 懲罰特別委員会は12月1日現在も開かれておらず、開催も未定。12月定例会は5日の開会予定で、今後、同委員会が開かれ、処分が定例会本会議に提案される可能性もある。 関連記事へ

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