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ジャーナリスト浅野詠子

関西広域)大阪府内6市水道統合計画 料金統一の見通し立てられず 東大阪市、議会で答弁

水道事業の6市統合を協議している大阪府東大阪市の市役所=2023年3月、同市荒本北1丁目

水道事業の6市統合を協議している大阪府東大阪市の市役所=2023年3月、同市荒本北1丁目

 奈良県域水道一体化計画は、市町村間で格差が著しい料金の統一を2025年度の統合と同時に行う前提で進められているが、市町村から特段の異論はない。一方、同じ2025年度の水道統合を目指す大阪府内6市による協議に参加している東大阪市は3月18日の市議会建設水道委員会で、料金統一の時期については見通しが立てられないとの見方を示した。

 複数の委員から水道統合について質問があった。府域一水道構想が将来的な水道料金の平準化を目指すとしながらも、統合効果の試算が40年と長期であることなどから疑問が相次いだ。市上下水道局は「料金統一は、参加団体に不利益が生じないことが明瞭にならず、(この先)いつになるか不明。会計統合の時期を示すことはできない」と答弁した。

 岡修一郎委員(自民)は「市の説明は不足し、市民の不安に応えられない。このまま200億円の市の水道資産を(統合の受け皿となる)大阪広域水道企業団(一部事務組合、用水供給事業、水道事業)に持参して良いのか。技術職員を放出して良いのか。統合は時期尚早」と疑問を投げ掛けた。

 さらに同委員は「小規模町村にメリットのある府域一水道構想のために泣いてくれというのも一つの考え方だろうが、大阪市は単独経営を続け、堺市の統合は白紙という状況。大東市が協議から離脱し(河内長野市、羽曳野市も協議離脱)、和泉市議会は否決した。府域一水道構想は歯抜けのような統合。なぜ府内人口3位の本市が統合しなければならないのか」とただした。

 市上下水道局は「補助金を活用して配水場を有利に更新し、耐震化への入れ替え、経営基盤の強化が図れるほか、企業債の発行も抑制できる。このタイミング(時限措置の10年間国庫補助金活用など)を逃さず、6市水道の経営統合を進めたい」と述べた。

 岡委員は「府広域水道企業団は絶対に民営化しないと言えるのか」と質問。市水道事業管理者は「水道法(2019年改正)に基づけば民営化(コンセッション方式)できるので、絶対にしないとまでは言えないが、企業団の首長会議の了承、企業団議会の議決が必要」と答えた。

 水道広域化を進める過程で、参加団体が多くなるほど統一料金の実現はハードルが高いといわれる。奈良県では、給水人口最大の奈良市(協議離脱)の参加を促すため、同市の料金水準と同等になるよう統一料金の額を検討していたことが、「奈良の声」が県への開示請求で得た文書で明らかになっている。

 奈良県広域水道企業団設立準備協議会の会長を務める山下真知事は昨年7月の協議会で「なぜ統一料金でなければ水道の広域化は達成されないのか、理由が明確でない」と、前知事が決めた統一料金を批判したが、同年10月の協議会で態度を変え、事業開始から統一料金でスタートする方針を示した。 関連記事へ

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