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地域の身近な問題を掘り下げて取材しています

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発行者/奈良市・浅野善一
浅野善一

記者クラブと小さなメディア)奈良市長会見への参加希望 「例外認めると線引きの問題生じる」

奈良市役所の案内掲示。市政記者クラブが入る市政記者室(左上に表示)は5階にある。同じ階には市長室や広報広聴課がある=2016年4月15日、同市二条大路南1丁目の同市役所

奈良市役所の案内掲示。市政記者クラブが入る市政記者室(左上に表示)は5階にある。同じ階には市長室や広報広聴課がある=2016年4月15日、同市二条大路南1丁目の同市役所

 ニュース「奈良の声」は先ごろ、奈良市長の定例記者会見への参加を申し込んだ。参加は認められなかったが、個人運営の小さなニュースメディアにどう回答があるか、確かめられたのは成果だった。今後の参考になる。

 市長会見への参加を希望した理由は、昨年11月に結審した奈良市の西ふれあい広場計画をめぐる住民訴訟について、仲川元庸市長本人に、今月26日の判決を前に直接、尋ねたいことがあったため。仲川市長は2013年7月の市長選の折、市民団体主催の立候補予定者公開討論会で、裁判による問題解明に「行政として全面的に協力したい」と表明していた。「協力」はどう実行されたのか、市長には説明する責任があると考えた。

 市長会見は、奈良市政記者クラブと市の共催の体裁を取っているという。参加希望を伝える両者あての文書(記事の最後に全文)を、市広報広聴課を窓口として送った。市政記者クラブは、新聞社や放送局の記者で構成される。

 西ふれあい広場計画をめぐる問題については、「奈良の声」は、当時の大川靖則・元市長らが市土地開発公社(13年3月解散)に不必要な土地を高額で先行取得させたとされる疑惑を調査、埋もれていた事実を発掘し、記事にしてきた。同訴訟の展開も追い、記事にしてきた。送った文書では、これらの経緯を説明した。

 広報広聴課を通じて返事があった。市政記者クラブの回答は「要望にはお応えしかねる」だった。理由について、クラブ加盟社以外の参加について例外を一つ認めてしまうと、今後、同様の希望があった場合にどこで線引きするかの問題が出てくるから、とした。同課も「市としても記者クラブの判断に異論はない。会見は一定のルールの下で行っている」と述べた。

 メディアは多様化し、併せて市民の知る権利や行政への市民参加も認められる時代になった。個人運営の小さなメディアに参加の機会を提供するという判断も可能ではないかと思っていたが、それは期待のしすぎだった。

県報道発表資料のHP掲載日、申し入れで改善

 しかし、記者クラブをめぐる問題については、働き掛ければ改善されることもある。

 5年余り前、「奈良の声」を開設して間もないころ。奈良県は、報道発表資料の県ホームページへの掲載を、発表の翌日に行っていた。当時の県広報広聴課によると、県政・経済記者クラブとの申し合わせに基づくものだった。ホームページへの掲載は、クラブへの資料配付の翌日という慣行があった。発表翌日の新聞朝刊の情報価値が下がらないようにとの配慮と推察された。

 「奈良の声」は同課に対し、配布と同時の掲載に改めるよう申し入れた。担当者は「一存では決められない。記者クラブにも諮らなければならない」と答えた。クラブは、県が発表資料をホームページに掲載するタイミングにまで干渉していたことになる。県が提供する情報を入手する機会は、一般県民やクラブに所属しないメディア、フリーランスの取材者にも等しく保障されなければならない。県は11年4月、原則、同時掲載に改めた。

 言論の多様性を広げるには情報が広く共有されることが大切。記者クラブ加盟社しか参加できない記者会見や記者クラブが占有する記者室の在り方など、県内の身近な所で直面したり疑問に感じたりしたクラブの問題について、どうすれば変えられるのか、いろいろな角度から探っていきたい。【続報へ】

奈良市長定例記者会見への参加希望を伝えた文書

2015年11月16日

奈良市政記者クラブ幹事社 様
奈良市広報広聴課 御中

2015年11月25日開催予定の市長定例記者会見への参加を希望いたします

謹啓 時下ますますご清栄のことと存じます。

 私は、ニュース「奈良の声」の名称でインターネット新聞を発行しております奈良市の浅野善一と申します。11月25日開催予定の市長定例記者会見への参加をお認めいただきたく、この文書を差し上げました。このたび結審いたしました西ふれあい広場計画をめぐる住民訴訟について、仲川元庸市長ご本人に直接お尋ねしたい件があるためでございます。

 西ふれあい広場計画をはじめとする奈良市土地開発公社をめぐる問題については、長期にわたる取材と記事掲載の実績がございます。市土地開発公社経営検討委員会が2011年3月に報告書を発表した直後から、その中で指摘された疑惑について取材に取り組み、今日までに数多くの記事を掲載してまいりました。特に西ふれあい広場については最も多く記事を掲載いたしました。

 「奈良の声」は一市民による個人発行のインターネット新聞ではありますが、2010年5月のサイト開設以来、今日まで5年以上にわたって、主に奈良県内を対象に自らの取材に基づいた記事を掲載してきた実績がございます。記事の数は現在、約500本になります。取材拠点の所在地名や連絡先、各記事の執筆者名もサイト上で明らかにしております。一定の数の読者も存在しております。2012年8月にはグーグルニュースに登録されました。

 市長定例記者会見がこれまで、奈良市政記者クラブの加盟社を対象に開催されてきたことは存じております。ただ、私が奈良新聞社の奈良市政担当記者として市政記者クラブに所属(1996年4月から98年3月まで)していた当時のことですが、クラブ加盟社ではなかった奈良日日新聞社の記者に市長定例記者会見への参加が認められていたという例もございます。

 奈良市土地開発公社が残した巨額の負債は、結果として市民の負担になりました。この市民にとって重要な問題について、市長への質問の機会をお認めくださいますよう、何とぞご検討のほどよろしくお願い申し上げます。追って連絡を差し上げます。 謹白

【写真は4月16日に追加】

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