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発行者/奈良市・浅野善一
浅野詠子

健全化審査のHP公開、3市のみ 公表や監査の「質」に落差 夕張破綻契機の財政新法で

監査委員の「健全化審査意見書」をホームページで公開することを決めた御所市役所

監査委員の「健全化審査意見書」をホームページで公開することを決めた御所市役所

 自治体の財政状況を示す新しい指標としてつくられた財政健全化法の健全化判断指標をめぐり、その公表の在り方や説明の分かりやすさなど「質」に大きな落差があることが、記者が県内12市を対象にした調査から分かった。監査委員による健全化審査の結果をホームページで公開しているのはわずかに3市。財政が厳しい市であっても、必ずしも厳しい監査は行われていない。

 同法は、北海道夕張市の財政破たんを教訓に2008年、施行。これまで不問にされがちだった外郭団体の借金や不毛な公有地などの「負の遺産」も算入する。その公表の在り方には課題も多く、新設された5つの財政指標に対し、監査委員による法定の「健全化審査意見書」をホームページ上で公開している県内の市は、奈良、橿原、生駒の3市にとどまる。

 残る9市は住民が市役所まで足を運び閲覧することになる。ただ、御所市は「この9月議会に2009年度の健全化審査意見書を報告した後、ホームページに掲載したい」と話す。市は健全化指標のうち、「実質赤字比率」と「実質公債費比率」が国の基準を超えて早期健全化団体に陥っており、公表の効用を重視しているとみられる。

 また、公表された指標の説明で多くの市町村に共通しているのは、健全化判断比率や資金不足比率の数値がなぜそのように導き出されたのか、住民が算定式を見てもすぐに理解するのが難しい点だ。特に、健全化判断比率の算定に必要な都市計画税関連の控除については、考え方も算式も難解であり、分かりやすい説明を試みた自治体はほとんどない。財政情報の共有化は、まだ道半ばといった格好だ。

 一方、監査委員の意見書の質にもかなりの落差があり、厳しい財政を直視して書いているところもあれば、不問にしてしまう意見書も。香芝市の意見書は、「実質公費比率」を構成するすべての数値について、3年間の流れをきちんと記載。これにより、公営企業や外郭団体などに対し市が行った融資援助の推移を知ることができる。
大和郡山市は、土地開発公社の遊休地増大などにより将来負担比率が200%を超え、県に「要治療」と判定されたものの、監査委員の健全化審査意見書は「特に指摘する事項はない」とあっさり。

 奈良市の同比率も同様に深刻であるが、監査委員の意見書は「大変憂慮する」と厳しい表現で指摘し、今以上に事業仕分けなどを進めるよう提案している。

 監査委員は市議と学識経験者で構成。役所のOBが就任することが多く、健全化審査意見書は法令施行前から「身内の審査」とか「財政課の自作自演」などの批判もあるが、真剣に扱えば、住民がまちの財政を知る確実な手助けになる。

 近年、県内の市町村の多くは財政状況が悪化。財政健全化法以外の指標でも深刻さが現れ、財政の硬直度を示す「経常収支比率」の県内市町村平均は08年度、3年連続で全国ワースト1に陥った。ワースト2は大阪府内の市町村。同比率は、経済格差などによる生活保護費の上昇や箱モノ建設による借金返済額の増大、職員の人件費などの「義務的経費」があいまって、数値を形成する。

 この比率が100%を超え、県から「重症」と判定された五條市の担当者は、「健全化審査の閲覧を希望する住民がまだおらず、どう公開するか検討中で運用の前例はない」と話す。住民の関心の在り方も、財政情報の充実した提供とかかわっていそうだ。

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