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発行者/奈良市・浅野善一
浅野善一

山間地の過疎化進むと、市街地出没のサル増える? 県内各地で目撃例

 橿原市内で先月末、1匹のサルが目撃された。野生のニホンザルとみられる。同市内では昨年12月にも1匹が市街地に出没、人が引っかかれる被害が出た。最近、県内各地の市街地での目撃例が増えている。雄ザルには群れを離れて単独で行動する習性があるが、県は山間地の過疎化や高齢化の進行がこうしたサルの増加につながっているとみる。

 橿原市農業振興課によると、先月24日午後、同市鳥屋町の弘誓寺近くでサルが出没したと住民から通報があった。現場周辺は山林や田畑。同課は市民に注意を呼びかけた。県森林整備課によると、同時期に近隣の桜井市や葛城市からも目撃情報が寄せられた。橿原市と同一のサルとみられるという。また、これより8カ月前の昨年12月24日午前から同月26日午前にかけ、1匹が八木町2丁目付近から西池尻町まで市中心部を南下、途中、人が引っかかれる被害も出た。県森林整備課によると、目撃例は県南部だけでなく、奈良市郊外のニュー・タウン、青山地区でもあるという。

 県内のニホンザルの主な生息地は、奈良市東部から宇陀、吉野に至る山間地。雄ザルには、雌を求めて群れから群れへと移動する習性があり、はぐれザル、離れザルなどと呼ばれる。県森林整備課によると、はぐれザルが移動中に方向を見失って市街地へ出没する例は昔からあったという。ただ最近は、件数の記録はないもののその数が増えているという。同課は、原因として、山間地で過疎化、高齢化によって耕作放棄地が増え、放置されたカキやクリが餌となってサルの総数が増加。それに伴って市街地に出没するはぐれザルも増えたものとみる。

 一方、兵庫県森林動物研究センターの鈴木克哉研究員は、サルが人や人為的なものを恐れなくなっているとする。食べ物の多い人里に依存して、栄養状態が良くなり、サルの数が増えることはあるという。ただ、地域によって生息数の増減は異なるという。

 これに対し、愛知県犬山市の日本モンキーセンターの加藤章園長は「この2年ほど、全国で市街地に出没するサルが増えている。これまでと変わった事態であることは確かだが、原因は分からない」とする。繁殖期が過ぎても群れに戻らず、雌や食べ物を求めるなどの本来の目的を失ってそのままとどまり、ふらふらしているサルが出現しているという。加藤園長はニートザルと呼んでいる。同園長は有害駆除や生息地の開発でニホンザルは減りつつあるとみている。

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